赤池三男第十六話「- 相続税の話 -」(H24.11.27)


 昨今の国家予算は、税収によらず国債に頼っている。
健全な予算は、税収に寄るべき事は、承知のこと。
 
 ところが、平成24年度予算を見ると、予算のうち税金で賄うのは、半分以下。
85兆円予算のうち、税収は42兆円。
 
 国の借金は総額で約1,000 兆円に達するらしい。
誰がこの借金を返すのかが問題。増税して返すほかはないが、一気には返せない。
消費税や所得税を増税しても、短期間での返済は無理。
 
 増税しても、東北震災の復輿予算が上積みされて、国債返済までは手薄。
増税策の中で、消費税が3%上積みされて8%に。
災害復輿税が2.4%増税。
所得税の扶養控除が無くなった。
 
 平成27年からは、相続税が増税になる。
相続税は、金持ちが払うもので、庶民(財産の少ない低所得者)には、
無関係だと思っている者がまだまだいる。
「泣く泣くも、良い方を取る形見分け」が庶民の感覚。
今度の改正では、庶民にも降りかかってくる。他人事ではない。
そもそも、相統税とほ如何なる考えにあるか。
その人の生涯所得の清算金又は相続人への贈与だとする考えがある。
 
 どちらの説を取って見ても、国民が一生涯働いて所得税を支払い、
家族と子孫の生活の向上を願って貯めた財産(金)を、税金で持っていかれては、
子孫の生活は成り立たないし、親への尊厳も薄れる。
  
 平成24年度予算に占める相続税は1兆4千億円。
全税収42兆円の3%に過ぎない。
平成2年度には、60兆円の歳入に対して、5兆3千億円の税収があった。
 
 相続税増税の理由はこうだ。国民の総資産は2,000 兆円あるという。
その半分の1,000兆円を相続税で賄おうという策だ。
1,000兆円を、年数掛けて取ろうという。
短期間では無理なことほ承知だろう。
金持ち(資産家)が、短期問に一緒に死ぬとは限らない。
1,000兆円を得るためには、永年掛るだろう。
昨今の新聞で、年金にあてるために相続税の特別税の創設も報道されている。
 
 相続税の控除は、現法では、基礎控除5,000万円+(1,000 万円×相統人数)。
新法では3,000万円+(600万円×相続人数)。
 
 例を取ると、1億円の課税資産を残して、お父さんが死んだ。
相統人は妻と子供二人とする。
現法では約200万円の納税額。
新法では約1,000万円になる。
 
 相続の際、土地の評価は路線価に寄るが、路線価の算定は税務署長の権限である。
現在、坪当り100万円の評価でも、バブルの際は、4倍だったことを思い出してみよう。
税務署長の裁定で、総資産は3,000兆円にも4,000兆円にもなるかもしれない?
今住んでいる家は、3,000万円の評価であっても、何年か後に1億円に算定されて、
遺族が住み家を売却しなければならなくなるかも。
親が子孫の為に折角残した財産が、子孫にとっては、
粉争の下、恨みの財産となるかもしれない。