赤池三男第27話「-男女平等-」(H25.11.25)

 「日本の男児は毅然たれ!男手一つで女房子供を養っていけ!」は、今では極めて古い思想のようだ。でも、戦前の教育を受けた日本人には、女性を守る思想が、どこか心の中に残っている。特に九州では、社会生活に男と女は違うという思想が長い間残っていたと聞くが、今では否定する九州人が多い。男女同権運動は、古くは平塚らいてう、市川房枝さんらの名前が挙げられる。
 放映中のNHKの大河ドラマでは、古い時代の女性の活躍を描いた、新島八重さんの「八重の桜」で女性の大活躍を描いている。
 男女平等は当然ながら、「男だけが苦労をして、女子供(おんなこども)には楽な生活をさせろ!」も、いけないことになるらしい。

 日本国憲法第14条(法の下の平等及び栄典)では、男と女は同権にあり、同じ苦労をして同じ幸福を願うことに有るとしている。(男としては苦しい仕事をしてでも、女子供には楽をさせてやりたい気持ちを持ってはいるのだが…)
 男女共同參画社会基本法がある。平成11年に小渕内閣によって立法された。男女平等意識から更に向上を期待するための思想である。内閣は勿論、地方公共団体でも勉強会を開いて、目的を達成しようと努力している。

 昭和40年代の終わり頃、国税庁職員の男女差別が問題化された。国会で日本社会党や日本共産党が、「女性を役職に付けさせろ!男だけの税務大学校の本科に入学させろ!」と強く主張していた。
 当時、女性が一割足らずの税務署には、女性の署長や課長など、役職者はいなかった。
 本当は、させたくても出来ない事情が有ったらしい。専門職の税務署は、採用時に男性だけ

を採用していた。一年間の専門教育を受けて、激務につく男の職場であった。女性は補助的採用で行政職(一)だったから、幾ら優秀でも役職には就けなかった。

 国会で質問取りの際、質問予定の先生方には「税務職は、激職である。寒い降雪の中、徹夜で張り込みをする。税務行政に理解を示さない圧力団体とのやり取りを、体を張って阻止するなど困難な職場。肉体的、精神的な苦労を女性にさせたくない」と申し開きをしたら、質問予定の女性議員がヒステリックに言った。「その考えがいけないのよ!女だからと言って甘やかすのが同権を阻害しているのよ!」。少子は、やっぱり男女平等を理解していなかったのだ、と深く反省。
 国税庁も、女性を税務大学校本科に入校させる意識は無かった。参議院で「国税庁は、なぜ女性を本科に入校させないのだ!」の追求に「(全入寮制度の)本科に入校しても、女性用風呂や女性用トイレが無いのです」など、ちんぷんかんぷんの答えをして、はぐらかしていたほどだ。

 平成25年の現在、国税職員は約5万6千人のうち、女性は約一万人を超えている。平成23年採用1094人の内、26%を女性が占めている。近い将来の見込みは30%だという。
 今では、国税専門官試験や普通科入校では、男女の区分がない。本科も入校できる。正否のほどは定かでないが、入校試験成績は、女性の方が男性より成績が良いと言われている。
 映画やドラマで、女性税務職員の働きが描かれ、税の職場は、女性の職場ではないかと錯覚が起きるほどである。
 今では、女性の税務署長はざらにいる。キャリアだが国税局長もいる。