代表者ブログ「五輪エンブレム」(H28.06.01版)

 2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの公式エンブレムがこのほど最終候補4点の審査の結果、市松模様をモチーフにした「組市松紋」に決定されました。昨年9月旧エンブレムが白紙撤回されて以降約8か月を経て「五輪の顔」が決まり、4年後の本番に向けた準備が一歩進んだと言えます。エンブレムの制作者は、東京都在住のアーチスト野老(ところ)朝雄氏(46歳)で、藍色一色の形の異なる3種類、45個の四角形ピースを「つなげる」ことにこだわり、日本だけでなく世界にもなじみ深い市松模様に仕立てたものです。
 専門家によれば、「小学生でも書けるような単純な図形が元になっているのに、それを組み合わせることで新しい関係を見いだせる」と評価しています。市松模様というのは、江戸時代中期に活躍した歌舞伎役者佐野川市松のはかまの柄に由来するそうです。また市松模様は、一見地味だけれども日本で愛されていた模様で子孫や事業の繁栄を意味する縁起のよい柄とされているともいいます。
 エンブレムを巡っては、昨年デザイナーの佐野研二郎氏によるエンブレムに一旦決定したものの、他に類似した作品があるなどの指摘があり、オリンピック組織委員会が撤回したものでした。組織委員会は、新たなエンブレムは一般公募の中から決定するとの方針の下、本年4月五輪史上初めて決定前に最終候補作品4点を公表しました。一般公募で寄せられた作品は1万4,599点にのぼり、その中から時間をかけて国内外での商標調査を進め、IOC(国際オリンピック委員会)などとの協議を経て、最終候補作品4点を公表したもので した。この絞り込んだ4点について、エンブレム委員会委員長の宮田文化庁長官は「議論を尽くして選んだ、こん身の作品」と記者会見で述べていました。
その4点のどれをとってもすばらしいエンブレムになると思われましたが、組織委員会では公式サイトとはがきで国民の意見を募集するという念の入れようで、最終的に4月25日「組市松紋」に決定したのでした。
 前回1964年の東京オリンピックでは、公式ポスターが4点あり、その第1号がエンブレム(当時は「シンボルマーク」と言っていました)となり、白地に深紅の円を配した鮮烈なもので今でも多くの人々の記憶にあります。第2号はポスターとして使われ、陸上競技短距離のスタート写真で外国人6人の躍動感あふれるものでした。今回は幾何学的で色も一色と最もシンプルなものに 決まりましたが、新国立競技場のどこに聖火台を置くのか、明治神宮球場を大会前後の長期借り入れができるのかなど、今後はもっと厳しい難題が控えていますが、今回の教訓を生かして欲しいものです。

税理士法人みらい 代表社員
税理士 松 尾  正