赤池三男第二話「-災害が止んだ日-」

 3月11日、東日本にマグニチュード9の大震災が起きた。
大地震に加え、約16メートルに及ぶ津波。地震国日本だから、少しの地震は驚かないが、今度の地震は規模が違った。
 筆者も5月20日から、知人のいる須賀川市~郡山市~大崎市(古川)~仙台市など東北災害地を慰問した。その被害状況は、報道を超え、筆舌に尽くせない。
 以前、訪問した時に存在していた街が今は跡形も無い、辺り一面砂地平野だ。
ここに住んでいた人々は、何処に行ったのだろうか。避難した者、波にさらわれた者、砂に埋もれたまま見からない者—。
 死者は行方不明者を含めて2万人を超える。
 その上、予想もしていなかった福島原子力発電所の放射能漏えい。トリプル災害で、未曾有の災害と表現された。復旧復興費用は、20兆円とも30兆円ともいわれる。復興には、半世紀も掛るという人もいる。
 さて、税金問題だが、今年度の歳入は税収減で激減するだろう。
 被災者は、災害が発生すれば復旧に追われる。納税には、気が回らない。自分の生活で一杯。
 折から、被災時は、確定申告期限が3月15日まで土曜・日曜を挟んで4日しかなかった。消費税の申告期限も迫っていた。
 国税庁は取敢えず、国税通則法に寄る、地域指定の宥恕通達を発遣した。火災や台風などの地域がせまく限定する場合は、個人で申請する。今回の様な大規模だと政府が一括して地域指定している。
 通則法第11条「国税庁長官—税務署長—は災害その他、やむを得ない理由に寄り-申告・申請・請求・届け出その他の書類の提出、納税又は徴収を—、災害の止んだ日から2カ月以内まで延長することが出来る」とある。
 今回の「災害が止んだ日」は、何時になるのだろうか。8月末現在は、まだまだ、止んでいない。
 津波は一応止んだ。地震は、まだまだ余震が続くだろう。原発放射能漏えい問題は、「止む日」は予想もできない。人心の安定は災害とどう図るのだろう。
 平成12年に起こった三宅島噴火で、島民は都内に避難した。噴火は今でも続き危険地帯。帰島出来ない人は、まだいる。