スイカ(西瓜)(H24.6.29)

 黒っぽい皮の色が特徴の高級スイカ「でんすけスイカ」の出荷が始まりました。北海道は当麻町の特産品で6月12日札幌市の青果市場で初セリがあり、最高値は前年並みの1玉30万円で落札され、現物は東京のデパートの店頭で販売されると報じられていました。「でんすけスイカ」に限らず、スイカは7月に入り全国の生産地で出荷がピークを迎えることになります。
 庶民にとって夏の代表的な果物であるスイカ、子どものころのスイカといえば、割ってみて食べてみるまでわからない当たりはずれが多い果物でした。割ってみるとまだ熟していないとか、スカスカで甘くなかったりしたもので、割ってみるまでドキドキ感があったものです。井戸水で冷やしたスイカを母親がまな板に乗せ、子どもたちは周りを取り囲んで最初の包丁が入るのをかたずをのんで見守りました。半分に切ったところで十分に熟したものとわかれば、全員がホッと喜びのため息をつきます。それから縁側に座ってタネを飛ばしながら、はしゃいで食べたものです。最近では出荷の際光センサー検査により中身の糖度を計り、それを店頭ではカットして中身の見えるスイカが主流となっていますから、当たりはずれは皆無です。丸ごと買ってきた大きなスイカを切るときのあのドキドキ感は、今や昔話となりつつあります。
 スイカの原産地は、アフリカ南部カラハリ砂漠近くのサバンナ周辺といわれています。その歴史は古く、4000年以上前の古代エジプト時代の壁画にスイカの栽培の模様が描かれているとあります。当時は果肉ではなく、栄養価の高い種の方を主に食べていたとみられています。スイカがアフリカからギリシャに伝わったのが約3000年前、ローマに伝わったのが約2000年前、そしてインドに伝わりシルクロードを経て11世紀ごろに中国に伝わったといわれ、日本渡来は16~17世紀とされています。
 日本でのスイカの栽培は生産者たちが改良の努力を重ね、近年では糖度が高く皮も薄いものが当たり前となっていますが、東南アジアやインド、中国などで食べるスイカとは甘さ、おいしさともに格段の違いがあるといいます。5年ほど前スイカの種を開発・販売する日本の専門業者が、スイカの原産地のアフリカ南部で日本のスイカの種を育ててみたところ、発芽はしたものの成育までには至らなかったそうです。
 これからはエアコンのきいた居間で、中身だけをブロックして素っ気ないパックに入ったスイカをフォークで食べるのが当たり前になってしまい、ランニングシャツ姿で縁側に座りガブリ、ガブリ・・・プッ!とスイカを食べる夏の光景も見られなくなってしまいそうです。確かに日本の発明による種なしスイカでは、プッ!と種を飛ばすこともできませんね。

税理士法人みらい
代表社員税理士 松尾 正