家相建築設計事務所様 連載(30)~家相の流儀・流派~(H26.2.1)

皆様こんにちは、佐藤秀海です。
 
 今回も、昨年9月に発売された拙著「よくわかる家相と間取り」(エクスナレッジ)の中から、皆さんに参考にしてほしいケースを紹介いたします。
 
 この本で紹介させていただいた東京都にお住いのTさんは、今でこそ家相にこだわった吉相の住まいにご家族4人でお住まいですが、ここまで来るにはとても大変でした。
 もともと都内のマンションに住んでいましたが、二人の娘さんの成長に伴って手狭になり、引越しを考えるようになりました。住み慣れたマンションでも良いのですが、何とか一戸建てに移りたいといろいろな物件を探し始めます。しかし、環境もよく予算にかなう物件はなかなかありません。ましてや、そこに家相まで取り入れるとなると……本当に物件が限定されてしまいます。
 そこでいろいろと悩んだ結果、環境と予算を重視して一つの建売物件を選び、契約を済ませてから私の事務所に相談にいらっしゃいました。Tさんとしては、家相が悪いのはある程度覚悟していましたが、これだけは絶対にダメだという部分をリフォームして住むつもりだったのです。
 しかし、その建売物件はあまりにひどい家相で、ちょっとやそっとのリフォームで無難にすることなどできません。もし、リフォームするとしても建て直すほどのコストがかかると説明すると、Tさんは真っ青になって「最悪の部分だけリフォームするだけではだめですか?」と言われます。しかし、無理なものは無理なので、何ともしようがありません。結局、図面の修正料金を受け取らずにご主人ともう一度相談するように説得して、お帰り頂きました。
 一度契約してしまった物件をキャンセルするには、手付金の放棄だけではなく、違約金として相当の金額も支払わなければいけません。しかし、Tさんはこの建売物件をキャンセルすることしました。
 その半年ほどのち、あらためてTさんから依頼がありました。あれからずっと物件を探しているが、なかなかこれという物件が見つからずに困っていたそうです。今回は土地も探していますが、まったくありません。結局、Tさんが探したいくつかの建売物件を現地で私に鑑定してほしいとのご依頼です。
 もともと、建売物件は商品であり、売りやすくできています。売りやすい家と住みやすい家は違いますし、私は、家は買うものではなく、建てるものとして考えているので、建売物件の購入そのものに反対です。しかし、Tさんの気持ちを考えると無下にも断るわけにもいかず、候補の建売物件がすべてダメな場合もあると念を押してからお受けすることにしました。
 当日は、不動産会社の担当とTさんご夫婦、それに私というメンバーで候補物件を回りました。間取りだけではなく、周辺の環境や建物の出来などいろいろとチェックし、物件を回りましたが、案の上、すべて没です。
 なかには高圧線の直下にある物件まであり、家相については詳しくないご主人が「ここは高圧線の真下なので嫌だ。」と私の判断を聞く前にダメだしするなど、せっかく奥さんが探した物件でしたが、すべてあきらめることになりました。
 
 その時、不動産会社の担当が「実はこの近くに土地だけ販売している物件がある」と言い出したのです。
これはいいぞと直感したので、すぐにその土地に向かいました。
そして、Tさんご夫婦もその土地を気に入り、この家が完成したのです。
 
 いろんな方の土地探しや家探しのお手伝いをしていますが、皆さん最初はなかなかうまくいかず、あきらめようとされます。しかし、そこでもう一度頑張ると、だんだん良い物件との縁が付き、最後まであきらめないと、必ず努力が報われます。
 人は、だれもができない理由を探す名人ですが、成功するにはあきらめないしかありません。土地や家さがしも同じです。これから探される方はしっかりと努力が報われるようにあきらめないこと。とことん頑張ってほしいと思います。
 

 
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