月次決算を続ける仕組みのつくり方|数字を経営判断に使う

目次

  1. 年1回の決算では手遅れになる
  2. 続く仕組みの条件
  3. 毎月見る数字
  4. 月次を経営に使う
  5. よくある質問
  6. まとめ

月次決算とは、毎月の業績を締めて損益と財政状態を把握する取り組みです。年1回の決算だけでは、問題に気づいたときには1年が終わっています。翌月10日前後に前月の数字が出る体制ができると、期中に手を打てるようになります。仕組み化のポイントを整理します。

年1回の決算では手遅れになる

決算をしてはじめて赤字だと気づく、納税額を聞いて資金が足りないと気づく——これは決算が年1回しかないことが原因です。

  • 納税予測ができない:期末に慌てて対策を探すことになる
  • 資金繰りが読めない:入金の遅れや在庫の増加に気づけない
  • 不採算に気づけない:赤字の取引が1年間続いてしまう
  • 金融機関に説明できない:融資の相談時に最新の数字がない

月次決算があれば、これらは期中に見えます。決算対策も、月次の数字があってはじめて計画的に打てます。

続く仕組みの条件

1. 締め日を決める

「月末までに前月分の資料を出す」と決め、社内ルールにします。期限がないと後回しになり、3か月分まとめて処理する事態になります。

2. 資料の流れを固定する

資料いつ
通帳の記帳・データ取得月初
売上の集計(請求書控え)月初
仕入・経費の領収書、請求書月初
給与明細・支払一覧支給後すぐ
在庫の概算月末(毎月でなくても可)

3. 自動化できるところは自動化する

ネットバンキングやクレジットカードの明細をクラウド会計に連携すると、入力の手間が大きく減ります。電子帳簿保存法への対応もあわせて進めると効率的です。

4. 完璧を求めない

月次では、在庫や減価償却費を概算で計上して構いません。スピードを優先し、精度は決算で合わせます。完璧を求めると続きません。

毎月見る数字

全部を見ようとすると続きません。次の5つに絞ると判断に使えます。

  • 売上高:前年同月比、予算比
  • 粗利益率:値引きや原価上昇の影響が出る
  • 固定費:人件費、家賃など。増えていないか
  • 現預金残高:月商の何か月分あるか
  • 売掛金・在庫:滞留していないか

特に粗利益率は変化に気づきやすい指標です。売上が伸びていても粗利率が落ちていれば、利益は増えていません。

月次を経営に使う

数字が出るだけでは意味がありません。次のように使います。

  1. 納税予測:期の途中で着地見込みを立て、資金を準備する
  2. 決算対策:決算月の2〜3か月前から計画的に検討する
  3. 金融機関への説明:試算表を提示できると融資相談が進めやすい
  4. 不採算の発見:部門別・商品別に見ると改善点が見える

当事務所では月1回のご訪問を基本とし、試算表をもとに数字の意味をご説明しています。単に帳簿を確認するのではなく、経営のご相談まで含めて対応するのが方針です。

よくある質問

Q. 月次決算はいつまでに締めるべきですか?

A. 翌月10日前後を目標にすると、経営判断に使える速さになります。月末までに前月分の資料を提出するという社内ルールを決め、資料の流れを固定することが継続のポイントです。遅くとも翌月中には締められる体制を目指してください。

Q. 月次決算では在庫を毎月数える必要がありますか?

A. 毎月の実地棚卸までは必須ではありません。月次では概算での計上でも構いません。スピードを優先し、精度は決算で合わせるという割り切りが継続のコツです。ただし在庫が大きく変動する事業では、月次でも概算の把握をおすすめします。

Q. 毎月どの数字を見ればよいですか?

A. 売上高、粗利益率、固定費、現預金残高、売掛金と在庫の5つに絞ると判断に使えます。特に粗利益率は変化に気づきやすい指標で、売上が伸びていても粗利率が落ちていれば利益は増えていません。前年同月比で見ると変化を捉えやすくなります。

まとめ

月次決算は、締め日を決めて資料の流れを固定し、自動化できる部分は会計ソフトに任せることで続きます。月次では概算での計上を許容してスピードを優先し、精度は決算で合わせます。売上・粗利益率・固定費・現預金・売掛金と在庫の5指標を毎月見ることで、期中に手を打てるようになります。

この記事の執筆者

税理士法人みらい(東京都西東京市ひばりが丘)。昭和58年開業、平成18年法人化。ISO9001認証取得。元国税局OBを含む税理士4名と税務・会計スタッフを合わせた総勢17名の体制で、月次決算体制の構築と巡回監査、納税予測と資金繰り管理、クラウド会計の導入支援をサポートしています。

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出典・参考

国税庁「帳簿の記帳のしかた」「電子帳簿保存法関係」、中小企業庁「中小企業白書」/e-Gov法令検索。本記事は2026年9月時点で公表されている法令等にもとづく一般的な解説です。税制は改正されることがあり、個別の事情によって取扱いが異なります。実際のご判断にあたっては最新の公表内容をご確認いただくか、税理士にご相談ください。本記事の情報にもとづく行為により生じた損害について、当事務所は責任を負いかねます。

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