年末調整の準備は8月から|社内スケジュールと確認事項

目次

  1. なぜ8月から準備するのか
  2. 逆算スケジュールの例
  3. 今年とくに確認したいこと
  4. 電子化を検討するなら
  5. よくある質問
  6. まとめ

年末調整とは、給与から源泉徴収した所得税の合計額と、その年に納めるべき税額との差額を精算する手続きです。実務が集中するのは11月から12月ですが、準備を8月から始めておくと11月以降の負担が大きく変わります。とくに近年は控除の要件変更が続いており、従業員への案内を早めに出しておくことが差し戻しを減らす近道です。

なぜ8月から準備するのか

年末調整は、11月に書類を配って12月に集計すればよいと考えられがちですが、実際には次のような理由で前倒しの価値があります。

  • 保険料控除証明書は10月頃から順次届き始めるため、それまでに回収の仕組みを決めておく必要がある
  • 従業員の扶養状況の変更(結婚・出産・親の扶養など)を早めに把握できると、差し戻しが減る
  • 中途入社者の前職の源泉徴収票は回収に時間がかかる
  • 電子化を進めるなら、システムの選定と従業員への周知に数か月かかる
  • 12月は決算期の会社も多く、経理の繁忙期と重なる

逆算スケジュールの例

時期やること
8月昨年の反省点の洗い出し、電子化の検討、従業員名簿の更新
9月スケジュールと提出期限の決定、様式の入手準備
10月従業員へ案内を配布、証明書の保管を依頼、中途入社者の源泉徴収票を督促
11月申告書の回収と内容チェック、不備の差し戻し
12月年税額の計算、過不足の精算(多くは12月支給の給与で調整)
翌年1月源泉徴収票の交付、給与支払報告書を市区町村へ提出、法定調書合計表の提出(1月31日期限)

社内の提出期限は、法定期限から2週間程度の余裕をもたせて設定すると、不備の差し戻しに対応できます。

今年とくに確認したいこと

控除の要件が変わっていないか

令和7年度税制改正により、基礎控除および給与所得控除が引き上げられ、配偶者控除・扶養控除の所得要件も見直されました。従来の「103万円」の基準で案内すると誤りとなります。最新の様式と手引きを国税庁のサイトで必ず確認し、従業員向けの案内文も更新してください。

申告書の様式が変わっていないか

申告書の様式は年によって変わります。前年の様式を使い回すと、新設された控除欄が抜け落ちる原因になります。国税庁が公表するその年分の様式を使用してください。

回収漏れが起きやすい書類

  • 生命保険料・地震保険料の控除証明書(原本)
  • 小規模企業共済等掛金(iDeCoを含む)の控除証明書
  • 国民年金保険料の控除証明書
  • 住宅ローン控除の年末残高等証明書(2年目以降)
  • 中途入社者の前職の源泉徴収票

前職の源泉徴収票が年末調整までに揃わない場合は、年末調整ではなく本人の確定申告で精算することになります。早めの督促が肝心です。

電子化を検討するなら

年末調整手続の電子化を進めると、控除額の自動計算により検算の手間が減り、書類の保管負担も軽くなります。従業員は各保険会社等から電子的な控除証明書を取得して提出できます。

導入にあたっては、従業員への周知、証明書の電子データ取得方法の案内、給与システムとの連携確認が必要で、準備に数か月かかることも珍しくありません。今年から始めるなら、8月〜9月が検討の適期です。なお、電子化には税務署への届出が必要な場合があるため、要件を事前にご確認ください。

あわせて電子帳簿保存法への対応も整理しておくと、経理全体の効率化につながります。

よくある質問

Q. 年末調整の準備はいつから始めればよいですか?

A. 8月から9月に社内スケジュールと様式の準備を始め、10月に従業員へ案内を配布する流れが余裕をもてます。保険料控除証明書は10月頃から届き始めるため、それまでに回収方法を決めておくと差し戻しが減ります。中途入社者の前職の源泉徴収票は回収に時間がかかるため、早めの督促が重要です。

Q. 年末調整の書類が期限までに揃わない従業員がいる場合はどうしますか?

A. 控除証明書などが間に合わない場合、その控除を適用せずに年末調整を行い、従業員本人が確定申告で精算する方法があります。前職の源泉徴収票が揃わない中途入社者も同様です。社内の提出期限を法定期限より前に設定し、督促の時間を確保しておくことが実務上の対策になります。

Q. 年末調整の代行を税理士に依頼できますか?

A. はい。給与計算、年税額の計算、源泉徴収票や法定調書合計表の作成、給与支払報告書の提出まで対応しています。なお、社会保険の資格取得届など社会保険労務士の業務に当たる手続きについては、提携する社会保険労務士と連携してご対応します。ご相談の際に業務範囲をご案内します。

まとめ

年末調整は11月からの作業と思われがちですが、証明書の回収体制づくりや中途入社者の源泉徴収票の督促、電子化の検討は8月から動く価値があります。令和7年度改正で配偶者控除・扶養控除の所得要件が見直されているため、従業員向けの案内文も最新の内容に更新してください。

この記事の執筆者

税理士法人みらい(東京都西東京市)。昭和58年開業、平成18年法人化。ISO9001認証取得。元国税局OBを含む税理士4名と税務・会計スタッフを合わせた総勢17名の体制で、給与計算と年末調整、法定調書の作成、経理体制の電子化支援をサポートしています。

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出典・参考

国税庁「年末調整のしかた」「給与所得者の扶養控除等申告書」「年末調整手続の電子化」/e-Gov法令検索。本記事は2026年8月時点で公表されている法令等にもとづく一般的な解説です。税制は改正されることがあり、個別の事情によって取扱いが異なります。実際のご判断にあたっては最新の公表内容をご確認いただくか、税理士にご相談ください。本記事の情報にもとづく行為により生じた損害について、当事務所は責任を負いかねます。

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