給与計算は外注すべき?税理士と社労士に頼む範囲と費用

目次

  1. 外注を考えたほうがよい会社
  2. 税理士と社労士、それぞれに頼める範囲
  3. 源泉所得税と住民税の納付期限
  4. 外注したときの毎月の流れ
  5. 費用(当事務所の料金)
  6. 外注先を選ぶときの確認点
  7. よくある質問
  8. まとめ

給与計算を外注すべきかどうかは、従業員の人数だけでなく、社内に任せられる担当者がいるか、計算ミスや個人情報の管理にどこまで手当てできるかで判断します。外注する場合は、給与計算と源泉所得税の納付書の作成は税理士事務所、社会保険・労働保険の手続きは社会保険労務士に頼むのが、法律上の業務範囲に沿った分け方です。

外注を考えたほうがよい会社

担当者が1人だけで代わりがいない、締め日から支給日までの期間が短い、制度の改定を追い切れていない、のいずれかに当てはまる会社は、外注を検討する価値があります。人数が少なくても毎月同じ作業が発生し、間違えれば従業員の手取りと納税の両方に影響するためです。

観点社内で続けやすい状態外注を考えたい状態
担当者給与計算に慣れた担当者が複数いる担当者が1人で、休むと作業が止まる
人数・変動人数が少なく、勤怠や手当の変動がほとんどない時給・残業・手当の変動が多く、毎月の確認に時間がかかる
制度の改定税額表や保険料の改定を自分で確認できる改定に気づかず、古い設定のまま計算するおそれがある
ミスの確認計算した人とは別の人が確認している計算した人以外が結果を見ていない
情報管理給与やマイナンバーを見られる人を限定できている給与データを誰でも見られる状態になっている

制度の改定は毎年あります。たとえば令和8年分は、基礎控除の引上げなどの改正が原則として令和8年12月1日に施行され、12月の年末調整で改正後の金額により1年分の税額を計算し直します。また、令和9年1月1日以後に支払う給与からは「令和9年分 源泉徴収税額表」を使います(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。

令和9年分からは防衛特別所得税(源泉徴収すべき所得税の額の1%相当額)が創設され、復興特別所得税の税率は1.1%に引き下げられます。合計の税率は2.1%のままで、源泉徴収税額の計算方法は変わらないとされています。一方、令和9年分の源泉徴収税額表は基礎控除等の引上げにともない改正され、令和8年分とは税額が異なります(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。こうした改定を自社で追い続けるか、外部に任せるかが判断の分かれ目です。

税理士と社労士、それぞれに頼める範囲

給与計算と源泉所得税の納付書の作成、年末調整は税理士事務所に、社会保険・労働保険の資格取得・喪失や算定基礎届などの手続きは社会保険労務士に頼みます。社会保険労務士法第27条は、社会保険労務士(社会保険労務士法人)でない者が、原則として、他人の求めに応じ報酬を得て、労働社会保険諸法令にもとづく申請書等の作成や提出の代行を業として行うことを禁じているためです。

一方、税務署に提出する書類の作成や税務相談は税理士の業務です(税理士法第2条)。源泉所得税の納付書(所得税徴収高計算書)、年末調整、源泉徴収票の作成は、税理士事務所が担当する範囲になります。

業務担当補足
毎月の給与・賞与の計算、給与明細の作成税理士法人みらい社会保険労務士法人みらいも給与計算を業務として掲げています
源泉所得税の計算と納付書の作成税理士法人みらい料金表では給与計算に含む
住民税(特別徴収)の天引き額の反映税理士法人みらい給与計算の中で反映
年末調整、源泉徴収票・給与支払報告書の作成税理士法人みらい年末調整事務として別料金
社会保険の資格取得・喪失、算定基礎届、月額変更届社会保険労務士法人みらい社会保険労務士の業務
労働保険の年度更新、雇用保険の手続き社会保険労務士法人みらい社会保険労務士の業務
給与の振込、税金の納付会社外注先は必要な一覧や納付書を用意

給与計算そのものは、全国社会保険労務士会連合会も社労士が支援できる業務として挙げています。当事務所に給与計算をご依頼いただく場合は、源泉所得税と年末調整までを一体で担当し、入退社や扶養の異動にともなう社会保険の手続きはグループの社会保険労務士法人みらいが担当します。

源泉所得税と住民税の納付期限

給与から差し引いた源泉所得税は、原則として給与を支払った月の翌月10日までに納付します。給与の支給人員が常時10人未満で納期の特例の承認を受けていれば、1月〜6月分は7月10日、7月〜12月分は翌年1月20日までにまとめて納付できます。期限が土曜日・日曜日・祝日にあたる場合は翌日が期限で、令和8年12月分(原則の納付)は令和9年1月12日(火)です。

区分納付期限
源泉所得税(原則)給与を支払った月の翌月10日
源泉所得税(納期の特例・1月〜6月分)7月10日
源泉所得税(納期の特例・7月〜12月分)翌年1月20日
住民税の特別徴収(原則)給与支払日の翌月10日

納期の特例を受けるには「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出します。却下の通知がなければ、提出した月の翌月末日に承認があったものとみなされ、翌月に源泉徴収する分から特例の対象になります(国税庁タックスアンサーNo.2505)。住民税の特別徴収も、従業員が常時10人未満であれば、従業員が住む区市町村の承認を受けて納期を年2回にできます。

源泉所得税を法定納期限までに納付しなかった場合は、不納付加算税がかかることがあります(国税通則法第67条)。外注する場合も、納付書の作成と実際の納付をそれぞれ誰が行うのか、期限の何日前にデータを渡すのかを決めておくことが大切です。納期の特例の詳細は源泉所得税の納期の特例とはで解説しています。

外注したときの毎月の流れ

外注しても、勤怠の締めと給与の振込は会社の仕事です。毎月、締め日、データの送付、計算、会社の確認、振込、納付の順に進めます。

順番会社が行うこと税理士法人みらいが行うこと
1 締め締め日に勤怠を確定し、入退社・昇給・手当・扶養の変更をまとめる―
2 データの送付勤怠データと変更点を送る受け取ったデータを確認し、不足があれば問い合わせる
3 計算―支給額・控除額を計算し、給与明細と支給控除の一覧を作成
4 確認計算結果を確認して承認する指摘があれば修正する
5 振込支給日に給与を振り込む―
6 納付源泉所得税・住民税を納付する源泉所得税の納付書(所得税徴収高計算書)を作成

締め日から支給日までの日数が短いほど、確認にかけられる時間も短くなります。外注を始める前に、データを渡す日と結果を返す日を決め、支給日から逆算した予定を共有しておくと安心です。

年に一度の作業として、12月には年末調整があり、源泉徴収票の交付と市区町村への給与支払報告書の提出は、原則として翌年1月31日までに行います(2027年は1月31日が日曜日のため2月1日)。また、社会保険料は9月分から新しい標準報酬月額にもとづくため、決定通知の内容を給与計算に反映する必要があります(標準報酬月額の決定通知が届いたら)。社会保険の届出そのものは社会保険労務士法人みらいが担当し、当事務所は決まった保険料を給与計算に反映します。

費用(当事務所の料金)

当事務所の料金表では、給与計算は5,000円〜で、源泉所得税の納付書の作成は給与計算に含みます。年末調整事務は20,000円〜で、給与支払報告書・法定調書合計表・償却資産税申告書の作成を含みます。

業務報酬
給与計算5,000円〜
源泉所得税納付書作成給与計算に含む
年末調整事務20,000円〜
給与支払報告書・法定調書合計表・償却資産税申告書の作成年末調整事務に含む

上記は、サービス案内に「新設法人の顧問料等報酬料金表」とあわせて掲載している「その他の業務」の金額です。人数や手当の種類によって作業量が変わるため、「〜」の部分は内容をうかがってご案内します。既存の法人の顧問料も、内容をうかがってご案内します。

設立1期目の法人には「新設法人サービスパック」があり、1年目の給与計算(3名まで)を月額顧問料に含めて対応します。対象は、設立1期目の法人(年商・業種は問いません)、社員10名以下の法人、帳簿の入力をご自身で行っていただける方(必要な帳簿は当法人でご用意します)、2年以上顧問契約を継続していただける方です。2年目以降は、年商・業務・社員数などを総合的に勘案してご相談させていただきます。

社会保険・労働保険の手続きは社会保険労務士の業務のため、上記の料金には含まれません。手続きの費用は、担当する社会保険労務士法人みらいの料金になります。

外注先を選ぶときの確認点

料金だけでなく、どこまでが料金に含まれるか、社会保険の手続きとどう連携するか、個人情報をどう扱うかを確認します。

  • 料金に含まれる範囲:納付書の作成、年末調整、給与支払報告書の作成まで含むか
  • 社会保険の手続きとの連携:入退社や昇給の情報が、社会保険の手続きを担う社労士にも伝わる仕組みがあるか
  • データの受け渡し方法:勤怠データや給与明細をどの方法でやり取りするか
  • 締め日と返却日:支給日に間に合う日程が組めるか
  • 個人情報の管理:マイナンバーを含む情報の保管・返却・廃棄の方法

マイナンバーを扱う事務を委託する会社には、委託先に対する「必要かつ適切な監督」の義務があります(番号法第11条)。個人情報保護委員会のガイドラインは、その内容として、委託先の適切な選定、安全管理措置を守らせるための契約の締結、委託先での取扱状況の把握を挙げています。契約書に秘密保持や再委託の条件、契約終了後の返却・廃棄が入っているかを確認しておきましょう。なお、税理士には税理士法で秘密を守る義務が課されています(税理士法第38条)。

よくある質問

Q. 従業員が数名でも給与計算を外注できますか?

A. できます。当事務所の料金表では給与計算は5,000円〜で、源泉所得税の納付書の作成は給与計算に含みます。設立1期目の法人で条件を満たす場合は、新設法人サービスパックとして1年目の給与計算(3名まで)を月額顧問料に含めて対応します。

Q. 税理士事務所に給与計算を頼めば、社会保険の手続きもしてもらえますか?

A. 社会保険・労働保険の手続き(書類の作成・提出代行)は社会保険労務士の業務です。当事務所は給与計算と源泉所得税・年末調整を担当し、社会保険の手続きはグループの社会保険労務士法人みらいが担当します。窓口をまとめてご相談いただけます。

Q. 外注しても会社に残る作業は何ですか?

A. 勤怠の締めとデータの送付、入退社・昇給・扶養の異動の連絡、計算結果の確認、給与の振込と税金の納付は会社で行います。外注先は計算と給与明細、源泉所得税の納付書などを用意します。データを渡す日と結果を返す日を、支給日から逆算して決めておくと安心です。

Q. 外注先にマイナンバーを渡しても問題ありませんか?

A. 源泉徴収票の作成などの事務は委託でき、委託を受けた税理士等は必要な範囲でマイナンバーを取り扱うことができます。委託する会社には委託先を監督する義務(番号法第11条)があり、委託先の適切な選定、契約の締結、取扱状況の把握が求められます。契約で秘密保持や再委託の条件を確認してください。

まとめ

給与計算を外注するかは、担当者の体制、制度改定への対応、ミスと個人情報管理のリスクで判断します。給与計算と源泉所得税の納付書、年末調整は税理士事務所、社会保険・労働保険の手続きは社会保険労務士の業務です。当事務所の料金表では、給与計算は5,000円〜(源泉所得税納付書の作成を含む)、年末調整事務は20,000円〜です。外注する場合は、締め日と納付期限から逆算した日程を決め、マイナンバーの扱いも契約で確認しておきましょう。

この記事の執筆者

税理士法人みらい(東京都西東京市ひばりが丘)。昭和58年開業、平成18年に税理士法人として設立。ISO9001認証取得。元国税局OBを含む税理士4名が在籍し、税務・会計から給与計算までを担当しています。社会保険・労働保険の手続きはグループの社会保険労務士法人みらい、許認可は行政書士法人みらいが担当し、窓口をまとめてご相談いただけます。

事務所案内を見る|税理士紹介

出典・参考

国税庁 タックスアンサーNo.2505「源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」、No.7411「「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等」、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」、国税庁「税理士制度のQ&A」、国税庁「源泉所得税及び復興特別所得税の不納付加算税の取扱いについて(事務運営指針)」、東京労働局「雇用関係助成金を申請される事業主等の皆様へ」(社会保険労務士法第2条・第27条の抜粋)、全国社会保険労務士会連合会「労働社会保険手続業務」、東京都・都内区市町村「特別徴収」リーフレット、個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」。本記事は2026年10月時点で公表されている法令等にもとづく一般的な解説です。税制は改正されることがあり、個別の事情によって取扱いが異なります。実際のご判断にあたっては最新の公表内容をご確認いただくか、税理士にご相談ください。本記事の情報にもとづく行為により生じた損害について、当事務所は責任を負いかねます。

税理士法人みらい(税理士法人番号 第1218号)/〒202-0002 東京都西東京市ひばりが丘北3-4-1 みらいビル2F/TEL 042-422-7440/ISO9001認証取得・書面添付制度対応

給与計算の外注は税理士法人みらいにご相談ください

初回相談は無料です。給与計算・源泉所得税・年末調整の料金は料金表でご確認いただけます。社会保険・労働保険の手続きはグループの社会保険労務士法人みらいと連携し、窓口をまとめてご相談いただけます。

無料相談を申し込む TEL: 042-422-7440