年末調整の申告書はどう変わった?扶養控除等申告書の確認ポイント

目次

  1. 所得要件の見直し
  2. 様式は毎年変わる
  3. 回収時にチェックする項目
  4. 揃わないときの対応
  5. よくある質問
  6. まとめ

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書とは、扶養親族の状況などを申告し、毎月の源泉徴収税額を甲欄で計算するために提出する書類です。令和7年度税制改正により基礎控除および給与所得控除が引き上げられ、配偶者控除・扶養控除の所得要件も見直されました。従来の「103万円」の基準で従業員に案内すると誤りになります。10月の配布前に、確認しておきたい点を整理します。

所得要件の見直し

令和7年度税制改正により、控除対象配偶者や扶養親族の判定に用いる合計所得金額の要件が引き上げられました。

区分改正後の要件
同一生計配偶者・扶養親族合計所得金額58万円以下(給与収入のみなら123万円以下)

従来は「合計所得金額48万円以下(給与収入103万円以下)」でした。世間で「103万円の壁」として知られてきた基準が変わっています。

ご注意:控除の種類によって所得要件は異なります。配偶者特別控除や源泉控除対象配偶者などの判定基準もあわせて確認が必要です。最新の要件は必ず国税庁「年末調整のしかた」でご確認ください。

様式は毎年変わる

申告書の様式は年によって変わります。前年の様式を使い回すと、新設された控除欄が抜け落ちる原因になります。

  • 国税庁が公表するその年分の様式を使用する
  • 給与システムを使っている場合は、様式のアップデートが適用されているか確認する
  • 市販の用紙を使う場合も、年分の表示を確認する

近年は特定親族特別控除など新しい控除が設けられており、様式もそれに合わせて変わっています。国税庁のサイトから最新版をダウンロードしてください。

回収時にチェックする項目

確認欄見るポイント
本人欄氏名・住所・マイナンバー、障害者・寡婦・ひとり親の該当区分
源泉控除対象配偶者配偶者の所得見積額が正しく記入されているか
控除対象扶養親族16歳以上か。生年月日の記載漏れがないか
16歳未満の扶養親族住民税の計算に必要。記載漏れが多い欄
前職の情報年の中途入社者は前職の源泉徴収票が必要

特に配偶者や扶養親族の所得見積額は、本人の記憶で書かれることが多く誤りが生じやすい箇所です。パート収入がある場合は、見込みで構わないので実態に近い金額を記入してもらいましょう。

揃わないときの対応

期限までに書類が揃わないケースがあります。

  • 扶養控除等申告書が未提出:その年最初の給与支払日の前日までに提出がないと乙欄で源泉徴収することになり、税額が大きく増えます
  • 控除証明書が間に合わない:その控除を適用せずに年末調整を行い、本人が確定申告で精算する
  • 前職の源泉徴収票が揃わない:年末調整ではなく本人の確定申告で精算する

社内の提出期限を法定期限より前に設定し、督促の時間を確保しておくことが実務上の対策です。準備の進め方は年末調整の準備は8月からもご参照ください。

よくある質問

Q. 扶養の所得要件は103万円ではなくなったのですか?

A. 令和7年度税制改正により基礎控除および給与所得控除が引き上げられ、同一生計配偶者・扶養親族の判定に用いる合計所得金額の要件は58万円以下(給与収入のみなら123万円以下)に見直されました。従来の103万円の基準で案内すると誤りになるため、従業員向けの説明資料も更新してください。

Q. 申告書は前年の様式を使ってもよいですか?

A. 使えません。様式は年によって変わり、新設された控除欄が抜け落ちる原因になります。国税庁が公表するその年分の様式を使用してください。給与システムを利用している場合は、様式のアップデートが適用されているかをご確認ください。

Q. 扶養控除等申告書が提出されないとどうなりますか?

A. その年最初の給与支払日の前日までに提出がない場合、源泉徴収税額表の乙欄で源泉徴収することになり、甲欄と比べて税額が大きく増えます。本人にとって不利になるため、回収の徹底が重要です。年末調整も行えないため、本人が確定申告で精算することになります。

まとめ

令和7年度税制改正により、扶養親族等の所得要件は合計所得金額58万円以下(給与収入123万円以下)に見直されました。従来の103万円で案内すると誤りになります。申告書はその年分の様式を使い、16歳未満の扶養親族欄や配偶者の所得見積額など記載漏れの多い項目を重点的に確認してください。

この記事の執筆者

税理士法人みらい(東京都西東京市ひばりが丘)。昭和58年開業、平成18年法人化。ISO9001認証取得。元国税局OBを含む税理士4名と税務・会計スタッフを合わせた総勢17名の体制で、給与計算と年末調整、法定調書の作成、源泉所得税の実務をサポートしています。

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出典・参考

国税庁「年末調整のしかた」「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」「源泉徴収税額表」/e-Gov法令検索。本記事は2026年9月時点で公表されている法令等にもとづく一般的な解説です。税制は改正されることがあり、個別の事情によって取扱いが異なります。実際のご判断にあたっては最新の公表内容をご確認いただくか、税理士にご相談ください。本記事の情報にもとづく行為により生じた損害について、当事務所は責任を負いかねます。

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