2026年度(令和8年度)税制改正とは、2025年12月に公表された税制改正大綱にもとづき、2026年の通常国会での法案成立を経て確定する税制の見直しのことです。2026年度(令和8年度)税制改正は、防衛特別法人税の創設や賃上げ促進税制の見直しなど、中小企業の実務にも影響の大きい項目が並びました。本記事では、決算・申告・設備投資の各場面で押さえておきたい改正ポイントを、実務の目線で整理します。当事務所でも改正初年度には問い合わせが集中するため、早い段階から社内体制を整えることをおすすめします。
【令和8年度税制改正】令和8年度税制改正大綱では、賃上げ促進税制について教育訓練費に係る上乗せ措置を廃止することが示されています。あわせて大企業向け措置は令和8年3月31日をもって廃止、中堅企業向け措置は見直しのうえ適用期限(令和9年3月31日)をもって廃止とされ、中小企業向け措置は存置される方向です。自社の事業年度でどの取扱いになるかは、国税庁・中小企業庁の最新の公表内容をご確認いただくか、当事務所までお問い合わせください。
2026年度税制改正の全体像
2026年度税制改正大綱は2025年12月に与党で決定され、2026年3月末までに関連法案が国会で可決される流れで整備されました。中小企業に関係する主な論点は、(1)防衛特別法人税の創設、(2)賃上げ促進税制の強化、(3)中小企業投資促進税制・経営強化税制の延長、(4)電子帳簿保存法の運用厳格化、(5)地方拠点強化税制などの見直し、の5点に集約されます。
改正の基本的な狙いは、防衛財源の確保と、賃上げ・設備投資・DXの後押しの両立です。法人税の節税対策と合わせて検討することで、改正による負担増を吸収しつつ、優遇制度の取りこぼしを防ぐことができます。
防衛特別法人税の創設と中小企業への影響
2026年4月1日以後開始事業年度から、法人税額に対し付加税として「防衛特別法人税」が課されます。税率は法人税額(基準法人税額)に対して4%で、基礎控除額として年500万円が設けられているため、法人税額が500万円を超える部分に対して課税される仕組みです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 課税対象 | 基準法人税額(一定の税額控除適用後の法人税額) |
| 税率 | 4% |
| 基礎控除 | 年500万円(事業年度12か月の場合) |
| 適用開始 | 2026年4月1日以後開始事業年度 |
中小法人(資本金1億円以下)で所得800万円以下部分に軽減税率15%が適用されるケースでは、年間の法人税額が500万円を超えるのは概ね課税所得ベースで2,500万円〜3,000万円程度が目安です。この規模を超える中小企業は、資金繰り計画に4%相当の上乗せを織り込むことが重要です。
賃上げ促進税制の拡充と適用判定
賃上げ促進税制は、中小企業向けの仕組みが2027年3月末まで延長され、適用要件と控除率も見直されました。中小企業向けの基本要件は、雇用者給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加した場合に15%、2.5%以上で30%、さらに教育訓練費の増加や「子育てサポート企業」「女性活躍推進企業」認定などの要件を満たすと最大45%まで税額控除できる構成です。
- 控除上限は法人税額の20%(基本)
- 控除しきれない金額は5年間の繰越控除が可能(中小企業のみ)
- 適用には給与支給額の「継続雇用者」ベースでの比較計算が必要
当事務所では、毎年の決算前に給与データをシミュレーションし、どの控除率に該当するかを事前に確認するようにしています。詳しくは法人向け税務顧問サービスのなかで個別に対応しています。
中小企業経営強化税制・投資促進税制の延長
中小企業経営強化税制および中小企業投資促進税制は、2027年3月末まで2年間延長されました。即時償却・税額控除の対象設備や要件も概ね維持されており、DX投資・省力化投資を計画している企業にとっては引き続き重要な制度です。
Q. 設備投資のタイミングで迷った場合は?
A. 経営強化税制は「経営力向上計画」の主務大臣認定が前提となるため、認定に通常1〜2か月を要します。投資から遡って認定を受けることが難しいケースもあり、発注前に計画書を提出する運用が安全です。
関連する実務論点は法人設立の手順と税務上のメリット・デメリットでも触れていますので、法人化と合わせて検討する場合はご参照ください。
電子帳簿保存法とインボイス制度の運用論点
電子帳簿保存法は2024年1月から電子取引データの電子保存が義務化されています。2026年度改正では、相当の理由がある場合の「猶予措置」の考え方が改めて明確化され、検索要件・真実性確保の運用チェックが強化される見通しです。インボイス制度も2023年10月から施行済みですが、経過措置(仕入税額控除の割合80%)は2026年9月末で終了するため、2026年10月以降の仕入税額控除計算に影響します。
- 電子取引データはPDFのまま保存し、タイムスタンプ・検索要件を満たす方法を社内で統一
- インボイス経過措置の終了に備え、免税事業者との取引方針を再整理
- 会計システム・請求書システムの法令対応バージョンを確認
具体的な対応は電子帳簿保存法の改正ポイントと対応策とインボイス制度の実務対応ポイントを合わせて確認することをおすすめします。なお、個別事案については必ず税理士にご相談ください。
まとめ
2026年度税制改正は、防衛特別法人税という新たな負担と、賃上げ・設備投資に対する優遇拡充が同時に進む構成になっています。自社の所得水準・人件費計画・設備投資計画を早めに整理し、改正後の税負担を試算しておくことが重要です。税理士法人みらいでは、改正初年度の決算対応についても個別にサポートしています。
参考にした一次情報(出典)
- 国税庁が公表するタックスアンサー(よくある税の質問)および各種パンフレット等の公表資料
- e-Gov法令検索(デジタル庁)に掲載されている関係法令の条文
実務の現場から:当事務所には、改正内容が自社にどう影響するかというご相談が毎年多く寄せられます。改正は適用時期が分かれることが多いため、施行日の確認をおすすめしています。
ご注意(免責事項):本記事は2026年8月3日時点の法令および公的機関の公表資料にもとづく一般的な解説です。税制・社会保険制度は改正されることがあり、同じ制度でも個別の事情によって取扱いが変わります。実際のご判断にあたっては、必ず税理士など専門家にご相談ください。本記事の情報にもとづく判断により生じた損害について、当事務所は責任を負いかねます。
税理士法人みらい(税理士法人番号 第1218号)/〒202-0002 東京都西東京市ひばりが丘北3-4-1 みらいビル2F/TEL 042-422-7440/初回相談無料。昭和58年開業・平成18年法人化、ISO9001認証取得。元国税局OBを含む税理士4名と税務・会計スタッフを合わせた総勢17名の体制で、税理士法第33条の2の書面添付制度にも対応しています。