法人税の中間納付の実務(予定申告と仮決算の使い分け)

目次

  1. 法人税の中間納付とは
  2. 中間申告が必要となる判定基準
  3. 予定申告による中間納付
  4. 仮決算による中間申告
  5. 消費税の中間納付との関係
  6. よくある質問
  7. まとめ

法人税の中間納付は、前期の確定法人税額÷前期の月数×6が10万円を超える法人が、事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内(3月決算なら11月30日)に行います。方法は、前期実績で計算する「予定申告」(法人税法第71条)と、上半期を1事業年度とみなして実績で計算する「仮決算による中間申告」(同法第72条)の2つで、上半期の業績に応じて使い分けます。本記事では、2つの方法の使い分けと、予定申告書・納付書が届かない場合の確かめ方を税理士法人みらいが整理します。

法人税の中間納付とは

中間納付は年税額の前払いであり、確定申告で精算されます。資金繰りの観点からも、納付時期と金額を事前に把握しておくことが重要です。

項目内容
対象事業年度が6か月を超える普通法人(清算中の法人などを除く)
方式予定申告(第71条)または仮決算(第72条)
期限事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内(3月決算なら10月1日から2か月以内の11月30日)
精算確定申告で年税額から中間納付額を控除

中間申告の基礎は法人の中間申告(予定申告)の仕組みと納付管理、決算月ごとの期限の一覧は法人の中間申告は必要?いつまで?決算月別の期限と判定基準をご参照ください。期限が土曜日・日曜日・祝日、年末年始(12月29日〜1月3日)などに当たるときは、休日明けの日が期限になります(国税通則法第10条第2項、同法施行令第2条第2項)。

中間申告が必要となる判定基準

中間申告の要否は、予定申告税額が10万円を超えるかどうかで判定します。

計算式内容
予定申告税額前期確定法人税額 ÷ 前期の月数 × 6
判定上記が10万円を超える場合に中間申告が必要
  • 設立第1期は前期実績がないため予定申告の対象外(適格合併による設立を除く。事業年度が6か月以下の場合も対象外)
  • 前期が短期事業年度の場合は判定に注意
  • 法人税の中間申告書を出す法人は、地方法人税の中間申告書も出す(地方法人税法第16条)。法人住民税・法人事業税にも中間申告がある
  • 防衛特別法人税は、令和9年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税の中間申告書を出す法人に中間申告が必要になる

予定申告による中間納付

予定申告は前期実績をもとに簡便に税額を求める方法です(法人税法第71条)。

  • 前期の確定税額を基礎に機械的に計算
  • 期限までに申告書を提出しなかった場合は、前期実績による中間申告書を提出したものとみなされる(法人税法第73条)
  • 事務負担が小さい

業績が前期と同水準で安定している場合は、予定申告が合理的です。

予定申告書・納付書が届くとは限りません。前期の法人税の確定申告をe-Taxで提出した法人には、法人税の予定申告書の用紙は送付されず、e-Taxのメッセージボックスに「法人税予定申告のお知らせ」が届きます。令和6年5月以降は、e-Taxで確定申告を提出した法人、e-Taxによる申告が義務化されている法人、ダイレクト納付など納付書を使わない方法で納付している法人には、法人税の予定申告分の納付書も事前に送付されていません。前期の確定申告をe-Taxで提出した法人には、予定申告の期限の月の上旬に、申告・納税に必要な情報がメッセージボックスに届きます。納付書が必要な場合は、所轄の税務署に連絡します(国税庁「予定(中間)申告書用紙の送付に係るお知らせ」「法人税予定申告分の納付書等の送付について」)。

仮決算による中間申告

仮決算による中間申告は、上半期(事業年度開始から6か月)を一事業年度とみなして実績で税額を計算する方法です(法人税法第72条)。中間申告書には、その期間の貸借対照表・損益計算書などを添付します。

仮決算が有利な場面留意点
上半期の業績が前期より大幅に悪化上半期の決算・申告事務が必要で負担が大きい
前期に一時的な多額の利益があった仮決算の税額が予定申告の税額を上回る場合は、仮決算による中間申告はできない

仮決算では中間決算を組む必要があるため、月次決算を整えておくと円滑です。期限までに仮決算による申告書を出さないと予定申告とみなされるため、どちらにするかは期限前に決めます。また、予定申告の税額が10万円以下で中間申告が不要な法人は、仮決算による中間申告もできません(災害損失金額がある場合を除きます)。月次・中間決算の活用は中間決算を経営改善に活かす方法をご参照ください。

税理士に相談したほうがよい場合

  • 上半期の業績が前期より大きく下がり、仮決算で減る中間納付額と作業の手間を比べたい
  • 前期に一時的な多額の利益があり、予定申告の金額が当期の実態と合わない
  • 前期が12か月に満たない、合併があったなど、予定申告の金額の計算が通常と違う
  • 前期にe-Taxで申告していて、メッセージボックスのお知らせの確認と納付の担当が決まっていない

税理士法人みらいでは、顧問・決算業務の中で、中間申告の要否の判定と期限の管理、予定申告と仮決算のどちらにするかの判断、中間申告書の作成を担当します。決算と申告だけのご依頼との違いは決算だけ税理士に頼める?依頼できる範囲と、年1回の依頼で気をつけること、顧問の内容は税務・会計顧問でご覧いただけます。

消費税の中間納付との関係

消費税にも中間納付制度があり、直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税を含まない年税額)が48万円を超える場合に、その額に応じて年1回・年3回・年11回の中間申告が必要です(消費税法第42条、国税庁 タックスアンサーNo.6609)。法人税と消費税で納付時期が重なることがあるため、資金繰りの一体管理が重要です。

  • 消費税中間も予定申告と仮決算の選択が可能(仮決算で税額がマイナスになっても還付は受けられない)
  • 消費税の中間申告書兼納付書は、e-Taxによる申告が義務化されている法人を除き送付が続くため、消費税の納付書は届いても法人税の納付書は届かない場合がある
  • 納付時期の集中による資金不足に注意
  • 年間の納税カレンダーを作成して管理

よくある質問

Q. 中間申告書を提出しないとどうなりますか?

A. 予定申告の場合、申告書を提出しなくても前期実績による予定申告があったものとみなされます(みなし申告)。ただし納付は必要で、納付を怠れば延滞税の対象です。仮決算を選ぶ場合は期限内の申告が必要です。前期の確定申告をe-Taxで提出した法人には予定申告書の用紙や納付書が送られないため、e-Taxのメッセージボックスに届くお知らせで金額と期限を確かめます。

Q. 仮決算で還付は受けられますか?

A. 仮決算による中間申告では、中間段階で還付を受けることは原則できません(災害損失金額がある場合の所得税額等の還付を除きます)。中間納付額が年税額を上回った場合の還付は確定申告で精算されます。

Q. 中間納付の資金がない場合は?

A. 上半期業績が悪化しているなら仮決算で中間納付額を抑えられる場合があります。それでも一時に納付すると事業の継続が難しくなる場合は、税務署に申請し、要件に当たれば原則として1年以内の期間に限り納税が猶予される制度(換価の猶予など)があります。換価の猶予の申請は納期限から6か月以内のため、早めに所轄の税務署(徴収担当)へ相談します。

まとめ

法人税の中間納付は、前期確定税額を基準とした予定申告税額が10万円を超える場合に必要となり(法人税法第71条)、申告・納付期限は事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内です。業績が安定していれば事務負担の小さい予定申告、上半期の業績が大幅に悪化していれば中間納付額を抑えられる仮決算(法人税法第72条)と、状況に応じた使い分けが、中間納付額と資金繰りの最適化につながります。年間の税額は確定申告で精算されます。前期にe-Taxで申告した法人には予定申告書や納付書が届かないため、メッセージボックスのお知らせで金額と期限を確かめます。消費税の中間納付とも時期が重なるため、納税カレンダーによる一体管理が重要です。有利不利の判断は個別事情によるため、迷う場合は税理士にご相談ください。

参考にした一次情報(出典)

  • e-Gov法令検索:法人税法第71条・第72条・第73条・第74条・第78条・第79条、地方法人税法第16条、消費税法第42条、国税通則法第10条、国税通則法施行令第2条
  • 国税庁「予定(中間)申告書用紙の送付に係るお知らせ」「法人税予定申告分の納付書等の送付について」
  • 国税庁「防衛特別法人税が創設されました(令和7年5月、令和8年6月改訂)」
  • 国税庁 タックスアンサーNo.6609「中間申告の方法」、国税庁「納期限までに納付することが困難な方へ」「納税に関する総合案内」(猶予制度の概要・申請方法)(いずれも2026年10月時点)

実務の現場から:当事務所には、中間申告や納付額について「予定申告と仮決算のどちらが得か」というご相談が多く寄せられます。業績の変動が大きい期ほど、事前の試算が効果を発揮します。

ご注意(免責事項):本記事は2026年10月時点の法令および公的機関の公表資料にもとづく一般的な解説です。税制・社会保険制度は改正されることがあり、同じ制度でも個別の事情によって取扱いが変わります。実際のご判断にあたっては、税理士など専門家にご相談ください。本記事の情報にもとづく判断により生じた損害について、当事務所は責任を負いかねます。

税理士法人みらい(東京都西東京市ひばりが丘)。昭和58年開業、平成18年に税理士法人として設立。ISO9001認証取得。元国税局OBを含む税理士4名が在籍し、税務・会計から給与計算までを担当しています。社会保険・労働保険の手続きはグループの社会保険労務士法人みらい、許認可は行政書士法人みらいが担当し、窓口をまとめてご相談いただけます。〒202-0002 東京都西東京市ひばりが丘北3-4-1 みらいビル2F/TEL 042-422-7440(平日9:00〜18:00)/税理士法人番号 第1218号

この記事の執筆者

税理士法人みらい(東京都西東京市ひばりが丘)。昭和58年開業、平成18年に税理士法人として設立。ISO9001認証取得。元国税局OBを含む税理士4名が在籍し、税務・会計から給与計算までを担当しています。社会保険・労働保険の手続きはグループの社会保険労務士法人みらい、許認可は行政書士法人みらいが担当し、窓口をまとめてご相談いただけます。

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