法人税の中間申告は、前期の確定法人税額÷前期の月数×6が10万円を超える法人が、事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内(3月決算なら11月30日)に申告・納付する手続きです(法人税法第71条)。前期の実績で納める予定申告が原則で、上半期の業績が大きく下がった年は仮決算による中間申告も選べます。消費税にも、法人税とは別の基準による中間申告があります。本記事では、法人税・消費税の中間申告の仕組みと、納付資金の管理を整理します。決算月ごとの期限の一覧は法人の中間申告は必要?いつまで?決算月別の期限と判定基準にまとめています。
中間申告とは
中間申告は、法人の事業年度(通常12か月)の途中で行う「税金の前払い」のような位置づけで、年税額の急増による納税負担集中を緩和する目的があります。中間申告の対象税目は次のとおりです。
| 税目 | 根拠法令 | 主な判定基準 |
|---|---|---|
| 法人税 | 法人税法第71条 | 前期実績の月数按分額が10万円超 |
| 地方法人税 | 地方法人税法第16条 | 法人税の中間申告と連動 |
| 防衛特別法人税 | 防衛財源確保法第21条 | 令和9年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税の中間申告と連動 |
| 法人事業税・住民税 | 地方税法 | 原則として法人税の中間申告と連動(外形標準課税の法人などは別の基準) |
| 消費税 | 消費税法第42条 | 前期確定消費税額48万円超 |
防衛特別法人税は、「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」(表では「防衛財源確保法」と略しています)にもとづく税で、令和8年4月1日以後に開始する事業年度から課税され、確定申告が必要になります。中間申告は、法人税の中間申告書を出す法人が令和9年4月1日以後に開始する事業年度から出します(国税庁「防衛特別法人税が創設されました」)。法人事業税は、前事業年度に外形標準課税の法人として申告した法人などは、法人税の中間申告が不要でも中間申告が必要です(東京都主税局「法人事業税・法人都民税Q&A」)。消費税の軽減税率制度との関係は消費税の軽減税率制度を正しく理解するもあわせてご確認ください。
法人税の中間申告(予定申告)
法人税の中間申告は、原則として「予定申告方式(前期実績基準)」で行われます。具体的な計算式は次のとおりです。
- 中間納付税額 = 前事業年度の確定法人税額 × 6 ÷ 前事業年度の月数
- 判定額が10万円以下の場合、申告義務なし(納付不要)
- 申告期限:事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内
例:3月決算法人(4月1日開始)で前期確定法人税額が240万円の場合、中間納付税額は240万円×6÷12=120万円です。事業年度開始の日以後6か月(4月1日〜9月30日)を経過した日は10月1日で、その日から2か月以内、つまり11月30日が申告・納付の期限です(法人税法第71条第1項、国税通則法第10条第1項)。期限が土曜日・日曜日・祝日、年末年始(12月29日〜1月3日)などに当たるときは、休日明けの日が期限になります(国税通則法第10条第2項、同法施行令第2条第2項)。2026年の11月30日は月曜日です。
期限までに中間申告書を提出しなかった場合は、その期限に、前期の実績による中間申告書を提出したものとみなされます(法人税法第73条)。申告書を出し忘れても予定申告の税額で納付義務が確定するため、納付が期限に遅れると延滞税がかかります。また、後述の仮決算方式を選ぶ場合は、期限内の申告書の提出が必要です。
予定申告書・納付書が届かない法人があります。前期の法人税の確定申告をe-Taxで提出した法人には、法人税の予定申告書の用紙は送付されず、e-Taxのメッセージボックスに「法人税予定申告のお知らせ」が届きます(国税庁「予定(中間)申告書用紙の送付に係るお知らせ」)。令和6年5月以降は、e-Taxで確定申告を提出した法人、e-Taxによる申告が義務化されている法人、ダイレクト納付など納付書を使わない方法で納付している法人には、法人税の予定申告分の納付書も事前に送付されていません。前期の確定申告をe-Taxで提出した法人には、予定申告の期限の月の上旬に、申告・納税に必要な情報がメッセージボックスに届きます。納付書が必要な場合は、所轄の税務署に連絡します(国税庁「法人税予定申告分の納付書等の送付について」)。
仮決算方式の活用
法人税法第72条に基づく仮決算方式は、事業年度開始の日から6か月の期間を1事業年度とみなして仮決算を行い、その結果に基づいて中間納付額を計算する方法です。当期の業績が前期と比べて大きく下がっている場合に、中間納付額を抑えられることがあります。中間申告書には、その期間の貸借対照表・損益計算書などを添付します(同条第2項)。
| 項目 | 前期実績基準 | 仮決算方式 |
|---|---|---|
| 計算根拠 | 前期確定税額の月数按分 | 当期上半期の仮決算 |
| 事務負担 | 軽い | 重い(決算作業必要) |
| 有利な場面 | 業績好調または横ばい | 業績悪化・赤字見込み |
| 制限 | なし | 仮決算の税額が前期実績基準の税額を超える場合は選べない。前期実績基準の額が10万円以下で中間申告が不要な場合も選べない(災害損失金額がある場合を除く) |
仮決算方式を選択する場合、棚卸資産・未払金・引当金などの決算整理仕訳が必要になり、税理士の関与負担も大きくなります。期限を過ぎると前期の実績による中間申告とみなされるため、仮決算にするかどうかは期限前に決めます。決算前のチェックリストは決算期を迎える前に確認したい経理チェックリストもご活用ください。
税理士に相談したほうがよい場合
- 上半期の業績が前期より大きく下がり、仮決算にするかどうかを期限前に決めたい
- 前期が設立1期目や決算期の変更で12か月に満たない、合併があったなど、予定申告の金額の計算が通常と違う
- 前期の確定申告をe-Taxで出していて、メッセージボックスのお知らせの確認と納付の担当が決まっていない
- 法人税に加えて消費税の中間申告が年3回・年11回になり、納付の時期と資金の管理が複雑になってきた
税理士法人みらいでは、顧問・決算業務の中で、法人税・消費税・地方税の中間申告の要否の判定と期限の管理、予定申告と仮決算のどちらにするかの判断、中間申告書の作成を担当します。決算と申告だけのご依頼との違いは決算だけ税理士に頼める?依頼できる範囲と、年1回の依頼で気をつけること、顧問の内容は税務・会計顧問でご覧いただけます。
消費税の中間申告
消費税法第42条による中間申告は、前事業年度の確定消費税額(国税分のみ、地方消費税を除く)の水準により回数が異なります。
| 前期確定消費税額(国税) | 中間申告回数 | 各回の納付額 |
|---|---|---|
| 48万円以下 | 不要 | − |
| 48万円超〜400万円以下 | 年1回 | 前期確定額の1/2 |
| 400万円超〜4,800万円以下 | 年3回 | 前期確定額の1/4ずつ |
| 4,800万円超 | 年11回 | 前期確定額の1/12ずつ |
各回の納付額には、あわせて地方消費税(消費税額の78分の22)を納めます。直前の課税期間が12か月に満たない場合は計算方法が異なり、課税期間の短縮の特例を選んでいる事業者は中間申告が不要です(国税庁 タックスアンサーNo.6609)。消費税についても法人税同様、仮決算方式の選択が可能ですが、仮決算で計算した税額がマイナスになっても還付は受けられません。なお、消費税の中間申告書兼納付書は、e-Taxによる申告が義務化されている法人を除き引き続き送付されるため、消費税の納付書は届いても法人税の納付書は届かない場合があります(国税庁)。簡易課税適用事業者は消費税の簡易課税制度の選択判断と届出もあわせてご確認ください。
納付資金の管理と資金繰り
中間申告は、予定申告なら前期の法人税額の半分相当(前期が12か月の場合)を年度途中で納付するため、資金繰りに大きな影響を与えます。前期と当期で業績差が大きい場合、見込みと実態がズレやすく、資金不足リスクが顕在化します。
- 毎月の試算表で年税額の概算を把握
- 納税予測額を月次資金繰り表に組み込む
- 業績悪化時は仮決算方式を早期に検討
- 納税予定額の納税準備預金口座への分離管理
資金繰りの観点では経営計画と資金調達の連携で実現する成長戦略で解説した月次資金繰り表の活用が有効です。
よくある質問
Q. 設立初年度の中間申告はどうなりますか?
A. 設立第1期は前期がないため、法人税の中間申告は不要です(適格合併により設立された法人を除きます)。第2期は第1期の確定法人税額で要否を判定し、第1期が12か月に満たない場合は、その月数で割って計算します。
Q. 前期が赤字で法人税ゼロでも中間申告は必要ですか?
A. 法人税については前期実績基準額が10万円以下となるため申告不要です。ただし、消費税については黒字赤字に関係なく前期確定消費税額で判定されるため、別途注意が必要です。
Q. 中間納付税額は確定申告でどう精算されますか?
A. 確定申告で計算された年間税額から中間納付税額が控除され、不足額があれば追加納付、過大であれば還付されます。
まとめ
法人の中間申告は、法人税・地方法人税は前期の法人税額、消費税は前期の消費税額で要否を判定し、納付額もそれぞれ計算します。令和9年4月1日以後に開始する事業年度からは防衛特別法人税の中間申告も加わります。法人税の期限は事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内で、3月決算法人なら11月30日です。前期実績基準が原則ですが、業績が下がった年は仮決算で中間納付額を抑えられる場合があります。前期にe-Taxで申告した法人には予定申告書や納付書が届かないため、メッセージボックスのお知らせで金額と期限を確かめます。月次試算表と資金繰り表を連動させ、納税予定額を経営計画に組み込むことが、資金ショックを避ける鍵となります。法人税の節税対策|中小企業が活用すべき制度もあわせて、中長期の納税の計画をご検討ください。
参考にした一次情報(出典)
- e-Gov法令検索:法人税法第71条・第72条・第73条・第74条・第79条、地方法人税法第16条、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法第21条、消費税法第42条、国税通則法第10条、国税通則法施行令第2条
- 国税庁「予定(中間)申告書用紙の送付に係るお知らせ」「法人税予定申告分の納付書等の送付について」
- 国税庁「防衛特別法人税が創設されました(令和7年5月、令和8年6月改訂)」
- 国税庁 タックスアンサーNo.6609「中間申告の方法」
- 東京都主税局「法人事業税・法人都民税Q&A」(中間申告について)
- 内閣府「国民の祝日について」(いずれも2026年10月時点)
実務の現場から:当事務所には、中間申告や納付額について「予定申告と仮決算のどちらが得か」というご相談が多く寄せられます。業績の変動が大きい期ほど、事前の試算が効果を発揮します。
ご注意(免責事項):本記事は2026年10月時点の法令および公的機関の公表資料にもとづく一般的な解説です。税制・社会保険制度は改正されることがあり、同じ制度でも個別の事情によって取扱いが変わります。実際のご判断にあたっては、税理士など専門家にご相談ください。本記事の情報にもとづく判断により生じた損害について、当事務所は責任を負いかねます。
税理士法人みらい(東京都西東京市ひばりが丘)。昭和58年開業、平成18年に税理士法人として設立。ISO9001認証取得。元国税局OBを含む税理士4名が在籍し、税務・会計から給与計算までを担当しています。社会保険・労働保険の手続きはグループの社会保険労務士法人みらい、許認可は行政書士法人みらいが担当し、窓口をまとめてご相談いただけます。〒202-0002 東京都西東京市ひばりが丘北3-4-1 みらいビル2F/TEL 042-422-7440(平日9:00〜18:00)/税理士法人番号 第1218号