年末調整は誰に頼む?代行の範囲と料金、10月中に決めること

目次

  1. 10月中に決めておくこと
  2. 年末調整の全体スケジュール
  3. 代行を頼める範囲(税理士と社労士)
  4. 令和8年分で変わる点
  5. 代行の料金(当事務所の場合)
  6. 依頼するときに用意する資料
  7. よくある質問
  8. まとめ

年末調整の代行は、年税額の計算と源泉徴収票・給与支払報告書などの作成を税理士に、社会保険の手続きは社会保険労務士に頼むのが、業務範囲に沿った分け方です。11月に申告書を回収し、12月の最後の給与で精算する流れのため、依頼先・申告書の回収方法・社内の締め日は10月中に決めておくと無理なく間に合います。

10月中に決めておくこと

決めておきたいのは、誰に頼むか、申告書をどう配って回収するか、社内の提出期限(締め日)をいつにするか、の3つです。12月の最後の給与の計算日から逆算すると、11月中には申告書をそろえる必要があるためです。

決めること選択肢・内容確認のポイント
依頼先社内で行う/税理士に依頼する毎月の給与計算をどこで行っているか。年末調整だけを切り出して頼めるか
申告書の配布・回収紙で配る/電子で受け取る電子で受け取るには一定の要件がある。従業員への記載方法の案内をどうするか
社内の締め日最後の給与の計算日から逆算して設定控除証明書の再発行や督促にかかる日数を残しておく
対象者の確認年末調整の対象者と対象外の人を分ける中途入社者の前職の源泉徴収票、2か所から給与を受ける人
提出方法eLTAX・e-Tax、光ディスク等、書面前々年に提出すべきだった同じ種類の法定調書が30枚以上なら、電子的な提出が義務(令和9年1月以後に提出するものから。令和8年12月までは100枚以上)

年末調整の対象とならない人もいます。たとえば、本年中の主たる給与の収入金額が2,000万円を超える人や、他の勤務先に扶養控除等(異動)申告書を提出している人は対象外で、ご自身の確定申告で精算します(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。対象者の一覧を早めに作っておくと、配布する申告書の数も確定できます。

年末調整の全体スケジュール

11月に申告書を回収し、12月の最後の給与で年税額との差額を精算し、翌年1月に源泉徴収票の交付と給与支払報告書の提出を行います。期限は原則1月31日ですが、2027年は1月31日が日曜日のため2月1日(月)です。

時期作業担当(代行を依頼した場合)
10月依頼先・回収方法・社内の締め日を決める会社
11月令和8年分の各種申告書と、令和9年分の扶養控除等(異動)申告書を配布・回収会社(配布・回収)、税理士(内容の確認)
12月本年最後の給与(賞与)で年税額を計算し、過不足を精算税理士(計算)、会社(支給)
2027年1月12月分の源泉所得税を納付(令和9年1月12日(火)まで。1月10日が日曜日、11日が成人の日のため。納期の特例は1月20日(水)まで)税理士(納付書の作成)、会社(納付)
2027年2月1日(月)まで源泉徴収票の交付、給与支払報告書の提出(市区町村)、法定調書合計表の提出(税務署に出す法定調書がある場合)税理士(作成)、会社(交付)

年末調整は「本年最後に給与の支払をする時」に行うため、通常は12月に行います。年税額と、それまでに源泉徴収した税額との差額を計算し、多く納めていた分(過納額)は還付し、足りない分(不足額)は徴収して、その月分の所得税徴収高計算書(納付書)に記載して納付します。12月中に精算しきれない場合は、翌年1月・2月に繰り越して精算することもあります(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。

代行を頼める範囲(税理士と社労士)

申告書の内容確認、年税額の計算、源泉徴収票・給与支払報告書・法定調書合計表の作成は税理士に頼めます。申告書の配布・回収、従業員への源泉徴収票の交付、給与の支給と税金の納付は会社の作業として残ります。社会保険・労働保険の手続きは社会保険労務士の業務で、年末調整とは別です。

作業担当
申告書の配布・回収、従業員への記載の依頼会社
申告書・控除証明書の内容確認税理士法人みらい
年税額の計算、過不足額の算出税理士法人みらい
12月の給与での精算(還付・徴収)給与計算の担当(当事務所に給与計算をご依頼の場合は当事務所)
源泉徴収票の作成税理士法人みらい(従業員への交付は会社)
給与支払報告書・法定調書合計表の作成税理士法人みらい
償却資産税申告書の作成税理士法人みらい(料金表では年末調整事務に含む)
社会保険・労働保険の手続き社会保険労務士法人みらい

税務署に提出する申告書等の作成や税務相談は、税理士の業務とされています(税理士法第2条、国税庁「税理士制度のQ&A」)。一方、社会保険・労働保険の書類の作成や提出の代行は、社会保険労務士でない者は、原則として、報酬を得て業として行うことはできません(社会保険労務士法第27条)。当事務所は年末調整と税務書類を担当し、社会保険の手続きはグループの社会保険労務士法人みらいが担当します。

源泉徴収票の提出方法も変わります。令和9年1月1日以後は、市区町村に給与支払報告書を提出すれば、税務署に給与所得の源泉徴収票を提出したものとみなされ、税務署提出用を作る必要がなくなります(源泉徴収票のみなし提出の特例)。法定調書合計表は、給与所得の源泉徴収票のほかに税務署へ出す法定調書がなければ提出不要になりますが、退職所得の源泉徴収票や報酬・料金の支払調書などを出す場合は引き続き必要です。従業員への源泉徴収票の交付は、これまでどおりすべての受給者に必要です(国税庁「源泉徴収票のみなし提出の特例に関するQ&A」)。

令和8年分で変わる点

令和8年度税制改正により、基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の見直しが行われました。改正は原則として令和8年12月1日に施行され、11月までの源泉徴収は変わらず、12月の年末調整で改正後の金額により1年分の税額を計算して精算します。

項目令和8年分(改正後)改正前
基礎控除(合計所得金額489万円以下)104万円132万円以下95万円、132万円超336万円以下88万円、336万円超489万円以下68万円
基礎控除(合計所得金額489万円超655万円以下)67万円63万円
給与所得控除の最低保障額74万円65万円
扶養親族・同一生計配偶者の所得要件合計所得金額62万円以下(給与収入のみなら136万円以下)58万円以下(123万円以下)
特定親族の所得要件62万円超123万円以下(給与収入のみなら136万円超197万円以下)58万円超123万円以下(123万円超188万円以下)
配偶者特別控除の対象となる配偶者62万円超133万円以下(給与収入のみなら136万円超207万円以下)58万円超133万円以下(123万円超201万5,999円以下)

基礎控除は合計所得金額に応じて金額が異なり、表の104万円と74万円は令和8年分・9年分の金額です(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。この改正によって新たに扶養親族等の要件を満たすことになった親族がいる場合は、扶養控除等(異動)申告書などの提出が必要です。11月の回収時に、家族の状況が変わっていないかをあわせて確認しましょう。

このほか、年齢23歳未満の扶養親族がいる場合の一般生命保険料控除の特例が設けられました(令和7年度税制改正。令和8年分・9年分に適用、適用限度額6万円)。また、令和9年1月1日以後に支払う給与には「令和9年分 源泉徴収税額表」を使います。令和9年分からは防衛特別所得税が創設されますが、復興特別所得税との合計の税率は2.1%のままで、源泉徴収税額の計算方法は変わらないとされています。

代行の料金(当事務所の場合)

当事務所の料金表では、年末調整事務は20,000円〜で、給与支払報告書・法定調書合計表・償却資産税申告書の作成を含みます。毎月の給与計算も依頼する場合は、給与計算が5,000円〜(源泉所得税の納付書作成を含む)です。

業務報酬
年末調整事務20,000円〜
給与支払報告書・法定調書合計表・償却資産税申告書の作成年末調整事務に含む
給与計算5,000円〜
源泉所得税納付書作成給与計算に含む

これらは、サービス案内に「新設法人の顧問料等報酬料金表」とあわせて掲載している「その他の業務」の金額です。対象人数や申告書の状況によって作業量が変わるため、「〜」の部分は内容をうかがってご案内します。顧問契約の料金も、内容をうかがってご案内します。設立1期目の法人向けの新設法人サービスパックでは、1年目の給与計算(3名まで)を月額顧問料に含めて対応します(対象の条件はサービス案内をご覧ください)。

年末調整は、毎年11月から翌年1月にかけて作業が重なる業務です。代行を検討している場合は、資料の準備期間を確保するためにも、10月中にご相談いただくと進めやすくなります。

依頼するときに用意する資料

基本になるのは、1月〜12月の給与・賞与の支給と控除のデータ、回収した申告書と控除証明書、中途入社者の前職の源泉徴収票です。

  • 従業員の一覧(入社日・退職日、住所)
  • 1月〜12月の給与・賞与の支給額、社会保険料、源泉徴収税額(源泉徴収簿や給与ソフトのデータ)
  • 令和8年分の扶養控除等(異動)申告書と、基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・特定親族特別控除申告書・所得金額調整控除申告書
  • 保険料控除申告書と、生命保険料・地震保険料などの控除証明書
  • 住宅借入金等特別控除申告書(該当者のみ)
  • 中途入社者の前職の源泉徴収票
  • 令和9年分の扶養控除等(異動)申告書(令和9年最初の給与の支払を受ける日の前日までに提出を受けるもの)
  • 償却資産税の申告に必要な事業用資産の明細(前年の申告書の控えなど)

マイナンバーが記載された申告書の提出を受けた場合、給与の支払者は本人確認(番号確認と身元確認)を行う必要があります(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。マイナンバーを含む資料を外部に渡す場合は、受け渡しの方法と返却・廃棄の方法を事前に決めておきましょう。毎月の給与計算から外注を考える場合は、給与計算は外注すべき?もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. 年末調整だけを税理士に頼むことはできますか?

A. できます。毎月の給与計算は社内で行い、年末調整の計算と源泉徴収票・給与支払報告書などの作成だけを依頼する形です。当事務所の料金表では年末調整事務は20,000円〜で、給与支払報告書・法定調書合計表・償却資産税申告書の作成を含みます。1月〜12月の給与・賞与のデータをご用意いただきます。

Q. 令和8年分の年末調整は、例年と何が違いますか?

A. 令和8年度税制改正により、基礎控除と給与所得控除の最低保障額が引き上げられ、扶養親族等の所得要件も見直されました。原則として令和8年12月1日施行で、11月までの源泉徴収は変わらず、12月の年末調整で改正後の金額により年税額を計算して精算します。新たに扶養親族等の要件を満たす親族がいる場合は、扶養控除等(異動)申告書などの提出が必要です。

Q. 源泉徴収票は税務署にも提出する必要がありますか?

A. 令和9年1月1日以後は、市区町村に給与支払報告書を提出すれば、税務署に給与所得の源泉徴収票を提出したものとみなされ、税務署提出用は不要になります。ただし、従業員への源泉徴収票の交付はすべての受給者に必要です。報酬・料金の支払調書など他の法定調書を税務署に出す場合は、法定調書合計表の提出も引き続き必要です。

Q. 社会保険の手続きも一緒に頼めますか?

A. 社会保険・労働保険の手続きは社会保険労務士の業務のため、年末調整とは別に、グループの社会保険労務士法人みらいが担当します。給与のデータを共有できるため、窓口をまとめてご相談いただけます。

まとめ

年末調整の代行は、年税額の計算と源泉徴収票・給与支払報告書などの作成を税理士に、社会保険の手続きを社会保険労務士に頼みます。依頼先・申告書の回収方法・社内の締め日は10月中に決め、11月の回収、12月の精算、2027年2月1日(月)までの源泉徴収票の交付と給与支払報告書の提出に備えてください。令和8年分は基礎控除の引上げなどの改正を12月の年末調整で反映します。当事務所の年末調整事務は20,000円〜です。

この記事の執筆者

税理士法人みらい(東京都西東京市ひばりが丘)。昭和58年開業、平成18年に税理士法人として設立。ISO9001認証取得。元国税局OBを含む税理士4名が在籍し、税務・会計から給与計算までを担当しています。社会保険・労働保険の手続きはグループの社会保険労務士法人みらい、許認可は行政書士法人みらいが担当し、窓口をまとめてご相談いただけます。

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出典・参考

国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」、国税庁 タックスアンサーNo.7411「「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等」、No.2505「源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」、国税庁「源泉徴収票のみなし提出の特例 特設ページ」「源泉徴収票(給与所得・公的年金等)のみなし提出の特例に関するQ&A」(令和8年4月)、国税庁「税理士制度のQ&A」、東京労働局「雇用関係助成金を申請される事業主等の皆様へ」(社会保険労務士法第2条・第27条の抜粋)。本記事は2026年10月時点で公表されている法令等にもとづく一般的な解説です。税制は改正されることがあり、個別の事情によって取扱いが異なります。実際のご判断にあたっては最新の公表内容をご確認いただくか、税理士にご相談ください。本記事の情報にもとづく行為により生じた損害について、当事務所は責任を負いかねます。

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