税理士の変更とは、現在契約している税理士との顧問契約を終了し、別の税理士と契約し直すことです。「相談しても返事が遅い」「節税の提案がない」「担当者が頻繁に変わる」といった理由で検討される方が多く、当事務所にも毎月ご相談があります。変更時期を誤ると決算に支障が出るため、手順を押さえて進めることが大切です。
よくある変更理由
ご相談で多いのは次のような内容です。
- 連絡が取りにくい:質問への回答が遅い、訪問がない
- 提案がない:申告書を作るだけで、経営や節税の話が出てこない
- 説明がわかりにくい:専門用語ばかりで理解できない
- 高齢化・後継者不在:将来的に継続してもらえるか不安
- 料金と内容が見合わない:何にいくら払っているかが不明確
- 専門分野が合わない:相続や事業承継に詳しくない
一方で、不満が「伝えていないだけ」のこともあります。訪問頻度や報告の形式は、依頼すれば変えられる場合があります。変更の前に一度率直に伝えてみるのも一つの方法です。
変更に適した時期
もっとも切り替えやすいのは決算・申告が終わった直後です。1事業年度が区切られ、資料も整理された状態で引き継げます。
| 時期 | 評価 |
|---|---|
| 申告終了直後 | もっとも望ましい。区切りがよく資料が揃っている |
| 期首 | 次に望ましい。新年度から新体制で進められる |
| 期中 | 可能だが、月次データの引き継ぎに手間がかかる |
| 決算直前 | 避けたい。新しい税理士が期中の経緯を把握できない |
個人事業主の場合は、確定申告が終わった3月下旬から夏までが動きやすい時期です。年末調整や確定申告の直前は、双方に負担がかかります。
引き継ぐ資料
契約終了時に返却を受ける資料です。原本の所在を必ず確認してください。
- 決算書・申告書の控え(過去3年分以上あると望ましい)
- 総勘定元帳・仕訳帳(電子データがあればデータで)
- 会計ソフトのデータ(バックアップファイル)
- 各種届出書の控え(青色申告承認申請、消費税の各種届出など)
- 預けている証憑(領収書、請求書、契約書など)
- 減価償却資産の明細、繰越欠損金の資料
特に消費税の届出書の控えは重要です。簡易課税を選択しているか、いつから適用されているかがわからないと、新しい税理士が正しい申告を組み立てられません。
円満に進める手順
- 新しい税理士を先に探す:空白期間を作らないため、解約前に相談を始める
- 契約内容を確認する:解約予告期間(1〜3か月前が一般的)と中途解約の扱いを確認
- 解約の意思を伝える:理由を詰めすぎず、事務的に伝えるほうが円滑
- 資料の返却を受ける:上記のリストで漏れがないか確認
- 税務代理権限証書の切り替え:新しい税理士が手続きします
解約を伝えるタイミングは、新しい税理士が決まってからが安全です。先に解約してしまうと、決算期が迫った状態で探すことになり、選択肢が狭まります。
顧問料の相場については税理士の顧問料の相場と選び方もご参照ください。
よくある質問
Q. 税理士を変えるのに適した時期はいつですか?
A. 決算・申告が終わった直後がもっとも切り替えやすい時期です。1事業年度が区切られ、資料も整理された状態で引き継げます。逆に決算直前の変更は、新しい税理士が期中の経緯を把握できないため避けたほうがよいでしょう。個人事業主は確定申告後の3月下旬から夏が動きやすい時期です。
Q. 引き継ぎで必ず返してもらう資料は何ですか?
A. 決算書・申告書の控え、総勘定元帳や仕訳帳、会計ソフトのデータ、各種届出書の控え、預けている証憑類です。特に消費税の届出書の控えは重要で、簡易課税の選択状況がわからないと正しい申告が組み立てられません。原本の所在も必ず確認してください。
Q. 今の税理士に不満を伝えるべきでしょうか?
A. 不満の内容によります。訪問頻度や報告の形式、説明の仕方は、依頼すれば改善される場合があります。一方、専門分野が合わない、後継者がいないといった構造的な理由は、伝えても解決しません。変更を決めた場合は、理由を詰めすぎず事務的に伝えるほうが円滑に進みます。
まとめ
税理士の変更は、決算・申告が終わった直後がもっとも切り替えやすい時期です。新しい税理士を先に決めてから解約を伝え、決算書・元帳・会計データ・各種届出書の控えを漏れなく引き継ぎます。特に消費税の届出書の控えは、正しい申告のために欠かせません。
国税庁「税務代理権限証書」「消費税の各種届出書」、日本税理士会連合会の公表資料/e-Gov法令検索。本記事は2026年9月時点で公表されている法令等にもとづく一般的な解説です。税制は改正されることがあり、個別の事情によって取扱いが異なります。実際のご判断にあたっては最新の公表内容をご確認いただくか、税理士にご相談ください。本記事の情報にもとづく行為により生じた損害について、当事務所は責任を負いかねます。
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