並河の税界よもやま話①(H20.4.23)

私は大学卒業と同時に日清紡という会社に入社して経理を3年やってましたが、3年目に国税局調査部特官室の税務調査の立会いを当時勤務していた大阪支店で経理の末席の
立場で経験することができました。
その後経理のスペシャリストを目指し同社を退職し、国税庁の国税専門官2期として国税の職場に入り、税大で同期生として「税理士法人みらい」の松尾代表と知り合うことになりましたが、今日の状況は当時全く予知できないことでした。
国税に入って8年目くらいの時、ある法人に調査で臨場したところ、その法人の顧問税理士がかって日清紡で調査を受けたとき、調査の指揮をした特官に似ていたため聞いてみたところやはり当時の担当者でした。
こちらは使い走りの立場なのでその税理士には私に対する記憶は全くありませんでしたが、調査を受けた方は調査担当者の性格、略歴、趣味嗜好といった情報を東京本社から入手して準備対応に心がけた関係上よく覚えていました。
ある日いつも乗ってる電車の中でいきなり「その節はお世話になりました」と話しかけられ、誰であったか思い出せずに困っていると、先方から某信託銀行の調査ではという話が出たのでかろうじて記憶をたどることができたこともありました。
調査する側は自分の都合で関係者を呼び出しその都度名刺交換しますが、応接する人数が膨大なため誰と会ったか顔と名前がつぎつぎと忘却の彼方へと消えて行ってしまいます。
しかしこのように自分は忘れたつもりでも相手方は結構覚えているので悪いことはできないものだと役所の現役時代は自戒したものです。
「攻守ところを変え」という言葉どおり民から官へ行き、また33年勤めて、民間人の税理士となって税界の仕事をさせていただいているわけですが、因果は巡るといったことをいろんな場面で感じます。
次回も私のつたない体験談を披露させていただきますので宜しくお願いします。