並河の税界よもやま話②(H20.5.29)

今回は税務調査をする側も実は見られているという話です。
ある大手メーカーの販売代理店の法人税調査を指令された担当者は2~3日調べたすえ「大手の関連企業なので経理はしっかりしており、多少の非違事項が見つかったので調査を打ち切りたい」と上司に報告した。
ところがそのすぐ後に担当部門宛に匿名で「今回の税務調査できちんと調べてもらえると期待したが、お土産程度の非違を見つけて喜んで帰ってしまいがっかりした。
実は当社は架空仕入れを計上してその金は重要人物へ渡っているのでしっかり調査してほしい」というお叱りの手紙が届いた。
これには上司も驚いて担当者を呼びつけ、お手紙の内容を伝えて、調査のやり直しを命じた。
すっかり面子を傷つけられた担当者は発憤し、困難の末に「蔭の声」が示唆した架空仕入の全貌を把握して優良事案の表彰を受けるに至った
これは内部告発が首尾よくいったケースですが、国税に寄せられるこの種の資料情報には会社の不正に腹を据えかねた正義感のものから、社内抗争による足の引っ張り合い、退職等の恨みつらみといった様々なものが入り混じり、調査着手のきっかけにはなるものの
真偽の程はマチマチといえましょう。
昨今はインターネットによるおびただしい書き込みに代表される情報過多時代ですが、
その中で「真の蔭の声」はお天道様に似た貴重な存在であります。