税理士並河の税界よもやま話⑯(H21.7.28)

★温故知新
ことしの8月30日は解散した衆議院議員選挙の投票日に決まり、いつもより暑い夏になりそうですが、現在のように社会が混迷している時は歴史の探索などに時間を費やしてみるのはいかがでしょうか。
歴史といっても身近なものでは自分史(自叙伝)の作成、家系図の作成(我が家のルーツ探し)郷土史の研究、社史の編纂といったものから東西の歴史書や時代小説の読破、健康を兼ねた名所旧跡、資料館めぐり等様々な楽しみ方が考えられます。
最近歴史好きの女子を歴女(語呂がイマイチ)と呼ぶそうですが、若い歴女の間では何故か伊達政宗が一番の人気らしい。
女性に人気が出るとブームに拍車がかかり、歴史物もその例外ではなさそうです。
NHK大河ドラマでは昨年の「篤姫」に続き、今年の「天地人」も高視聴率を上げているようですが、年末から変則3年がかりで放映予定の「坂の上の雲」も楽しみです。
税理士法人みらいの顧問先には歴史小説作家の藤原緋沙子氏がおられます。
この夏休み中に先生の時代小説作品を読まれるのも結構かと思います。
★日本史の再考
「日本」という国名がいつごろ決まったかといいますと、歴史学者の網野善彦氏によると689年浄御原令という法令が施行された年が史家の多数説とのことです。
対外的には大宝律令が制定された701年の翌年、遣唐使として中国大陸に渡った粟田真人が周の皇帝則天武后に日本の使いであると述べたのが最初といわれています。
日本は今、お互いに助け合い他人を思いやる気持や礼儀作法といった伝統的な美風が失われ、若者は将来に夢と希望をもてない情無い国になっているように思います。
このような時私たちは過去の日本の古きよき文化、伝統を長い時間尺で見直し、戦後の偏った自虐史観から脱して「あるべき国家像」を再構築していかなければならない。
歴史認識が違うとはいえ他国がわが国の歴史教科書の中味にまで口を挟むのは不快です。
★わが国の租税史について
明治15年に松方正義大蔵卿が編纂した官製租税史の集大成といえる「大日本租税誌」を若い頃読んだことがありますが、古文読解力不足もあり消化不良で終わってしまった。
そこでは二千以上のおびただしい税目が書かれており、律令制度が早く崩壊しそれに続く荘園制度は複雑で、荘園の収入が領主の私的な支出に充てられ国庫に入らないものは真に税というのか疑問に思った。
このように税を私物化することは古くて新しい永遠の課題といえます。
わが国の税制の転換点としては①大化の改新(租庸調)②太閤検地(一地一主の制確立)③明治の地租改正(土地所有者の確定、地租3%金納)④戦後のシャウプ勧告(直接税中心の申告制度)⑤平成元年の消費税の導入といったものが考えられます。
税は国や地方公共団体の歳入の主要かつ必須のものですが、税収以上に歳出を増やし、その穴埋めに借金を繰り返しているのは承知の通りです。
このまま行けば国も地方もサラ金財政が続き、私のふるさと夕張と同じ破綻の道をたどる危険性があります。
そのようにならないためにも歴史に学んで将来の日本を見据えた上での賢い選択を(今回の選挙の投票を含めて)なされることを期待したい。