税理士並河の税界よもやま話【30】(H22.10.1)

★ゲゲゲの女房

今年の3月29日から始まったNHKの朝ドラ「ゲゲゲの女房」は漫画家「水木しげる」の妻、武良布枝が書いた自伝をテレビドラマ化したもので視聴率は尻上がりとなって9月25日に終結を迎えました。
著者は故郷の島根県安来から鳥取県境港出身の水木氏と結婚して調布に住み、底なしの貧乏生活からやがて漫画が売れ出すサクセスストーリーですが、原作を読んでいると、平凡ながら夫に一身に尽くす女性の強い生き方を感じました。
あくびをすると腹が減るのでそれすらはばかれたという赤貧の日々はたしかに辛かったけれど不幸ではなかったと述べていました。
このドラマの中で申告所得が低すぎるのではとして税務職員が調査に来るシーンがあります。
税務職員の口のきき方が「こんな収入、所得では食べていけるはずはない。他に収入があるはずだ」と言ってこちらの事情を何度説明してもわかってもらえず、水木氏はついに「論より証拠」とばかり質屋の赤札の束を見せて税務職員を退散させてしまった。
税務職員にとって仕事として、その人の稼ぐ収入、所得と家族の生計費の関係を調べることは調査上のポイントなので避けては通れませんが、日の丸をバックに権力を持ってやっているので言葉使いには気をつけ、お互いに立場が違っても最後は「日本のために頑張りましょう!」といって笑顔で終わってほしかった。
「ゲゲゲの鬼太郎」は漫画とともに歌もユニークな歌詞と覚えやすいリズムのため当時大いに流行りました。
私が民間会社に入社した昭和43年の独身寮の忘年会では寮生が上半身裸になってお腹にマジックで顔を描き、頭から袋をかぶって「ゲゲゲの鬼太郎」の曲に合わせて踊った腹芸は妖怪集団の踊りのようで楽しく盛り上がった記憶があります。
8月21日に放映された「NHK思い出のメロデイ」ではドラマのゲゲゲの女房役で好評だった松下奈緒が司会役となり、その中で熊倉一雄が昔と変わらぬ雰囲気でゲゲゲの曲を披露して懐かしい思いをしました。
★マンガ世代とヒーロー
私が幼少の頃はまだテレビがない時代で、遊びはもっぱら屋外でしたが、文化的な娯楽としてはラジオ、映画、紙芝居そして月刊漫画誌でした。
当時の月刊漫画誌としては漫画王・冒険王・少年・少年画報・おもしろブック・ぼくらなどがあり、別冊付録がいっぱいあって友達同士で本を交換して夢中になって読んでいました。
月刊漫画誌の次は週刊漫画誌の時代となり、発行部数は飛躍的に伸びました。
少年マガジン(講談社)、少年ジャンプ(集英社)、少年サンデー(小学館)、少年チャンピオン(秋田書店)といった現在でも読まれている週刊少年漫画誌の中から次々とヒーローが誕生し、それが単行本だけでなく、テレビや映画でアニメ化され一層人気化しました。
雑誌などの静止画の印刷物である「マンガ」とテレビ、映画などで視聴する動画の「アニメ」はいずれも日本が世界に誇る文化です。
日本社会が戦後の焼け跡から高度成長期を過ぎるころまでは子供たちに夢を与えるヒーロー、ヒロインが沢山誕生しましたが、安定成長期から現在の停滞期になると日常性、現実性のためかヒーロー不在の時代となっています。
サザエさんやちびまる子ちゃんがいまだに長寿番組として続いているのはこの大いなる日常性にあるのかもしれません。(サザエさんの視聴率と東証株価指数には連動性があるという説があり、本番組の時間帯は景気の良い時は外食等で視聴率が下がり、逆に景気動向が悪いときは視聴率が上がるというもの)
日本は世界で例を見ないデフレ状況が長く続き、いまだに閉塞状況を打ち破ることができていません。
テレビを見ているとどのチャンネルも「うまいもの」「クイズ」「温泉旅行」といった制作コストの安いマンネリ化した番組ばかりでうんざりします。
この辺で日本を元気づけ、世界を救える新しいヒーローの出現が待ち遠しいところです。