赤池三男第十三話「- トッカン -」(H24.7.25)

 税務職員を主役にしたドラマが出て、視聴者の興味を持たせている。映画では、マルサの女。テレビでは、税務調査官窓際太郎の事件簿など。
 最近では「トッカン」。7月から日本テレビ系列で、水曜日にオンエアーされている。井上真央さん主役で、好調な視聴率。
 世間では、税務職員は嫌われる職業だが、視聴者は、ドラマが権力の行使であり、一般人には出来ない法律行為に魅力を感じているらしい。主役の税務署員は美化されて、人格執権、共に優れた人ばかりだ。
 ドラマは、徴収担当の上位管理者の役職で、「トッカン」が主役。トッカンは税務署用語(隠語)で、特別国税徴収官の「特」と「官」をとった。
 全国515税務署には、特別国税徴収官と特別国税調査官と称する役職約550人の(指定)トッカンが配置され、全国12国税(所)局には、特別国税徴収官と特別国税調査官が推定90人が配置されている。
 特別国税徴収官は、多滞納や困難事案を所管する。テレビドラマに出てくる様な滞納者。
 国税局の特別国税調査官は、局長指定の大法人を所管し調査(第一)査察部に配置されている。所管法人は、日本を代表する大企業ばかりで、支社・支店が全国に及んでいる社が多い。
 調査期間が、半年を超えるものが少なくない。例えば、7月10日の人事異動を終わって直ぐに5人1チームで着手して、12月中終了を目途。
 国税局、税務署を問わず、特別国税徴収(調査)官は、経験豊富な優秀な職員が任命される。
 ある会合で、署長とトッカンが並んでいたら、納税者は、特官に集まったという。署長より(調査)権力のある職だと見られている。
 制度が出来た頃、税務署所管法人で、「うちの会社は、トッカン所管だ」と誇りを持っていた。
 特別国税調査官の命名は、故吉国二郎国税庁長官である。昭和45年、国税庁の機構改革で、課長制度を失くし、調査官制度を創設した際に、税務署長と同格の専門職とした機構である。特別国税徴収(調査)官・統括国税調査官・上席調査官・調査官・事務官を設置した。
 当時も、略して「トッカン」は、爆発物(ドカン!)に聞こえる、と笑話があった。
 「○○官」は、威厳があると好評だった。他官庁でも、統括官、上席調査官、調査官と命名する役職が出来た。
 当初の機構では、署長と特官は同位として、同期を任命することになっていた。今では、署長→特官。特官→副署長へと任命されるケースがある。