お酒いろいろ
平成18年度税制改正においては、「あるべき税制」 の構築に向けた改革が行われました。所得税、法人税、土地・住宅税制、国際課税等の直接税の改正ばかりではなく、 間接税の中でも重要な位置を占める酒税についても大幅な改正がありました。その酒税法の改正内容について、 ここで縷々詳細を述べるつもりはありません。
時あたかも年末年始を迎え、誰しも否応なくお酒とのつきあいがあります。少しでも楽しいお酒となることを願いながら、気楽に読んでいただけるものといたします。
お酒の中で、今やブームというより絶対的な地位を確立しました「しょうちゅう」についてであります。料飲店でしょうちゅうを置いていないところは皆無と言ってもよく、お客は芋だとか、麦だとか原料を指定して注文し、お湯や炭酸で割ったり、梅を入れたりなどと好きなようにして飲んでおり、店側もさまざまな客の注文に気軽に応じてくれます。
さて、しょうちゅうの種類は数多くありますが、ここは「泡盛 (あわもり) 」についてであります。泡盛は、我が国では沖縄県でのみ製造されており、独特の黒麹菌 (他のしょうちゅうは白又は黄麹菌) を使い、米と米麹だけを原料とする蒸留酒です。その歴史は、500 年以上にさかのぼり、当時シャムといわれていたタイから南方貿易によって伝えられたといわれています。17世紀には、琉球王国から江戸幕府への献上品の中にもみられることから、泡盛はしょうちゅうの元祖でもあります。
泡盛はかめに入れて貯蔵することにより熟成し、3年以上貯蔵されたものをクース(古酒) といい、まろやかな風味と芳香が生まれてきます。飲み方は、ストレート、オンザロック、水割りであり、お湯で割ったり梅干しを入れたりして飲む他のしょうちゅうとこの点でも異なります。
ところで、江戸時代琉球は薩摩と深いかかわりをもって歴史を刻み、近代での沖縄県は先の大戦では最大の激戦地、そして戦後27年に及ぶアメリカ合衆国の統治、昭和47年の本土復帰等の苦難を経てきました。この波瀾に満ちた時代のなかで、泡盛の特徴を醸す黒麹菌は生き続け、泡盛は沖縄県の文化とともに県民が誇れる名酒に育てられてきました。我が国の発酵学の権威坂口謹一郎博士は、沖縄で泡盛と出会い、黒麹菌という不思議なカビを育て、泡盛という名酒を造りだした沖縄の酒造文化に驚きと深い感銘を受けたといわれています。
沖縄の人たちは、心が通じると徹底的に気を許し親交を深めてしまいますが、クース (古酒) を一度口にするとその虜になってしまいます。長い年月をかけて熟成させた泡盛は、完成度の高い名酒であります。一度お試しあれ! [18.11.24 S.Y記]