税理士並河の税界よもやま話⑥(H20.9.27)

今回は今年10月31日をもって廃止となる税務署の税務相談室(面接コーナー)に名残を惜しんで税務相談室の話をさせていただきます。
一口に「税務相談室」といっても国税局・主要税務署・地方公共団体・税理士会等にあり、アクセスの仕方によっては電話相談・インターネット・面接方式等があります。
先日一部上場企業のトップの方と仕事に関する話をしている中で、その方が時々国税局のテレホンサービスを利用していると言われ、えっと驚くと共に筆者がかって2年間勤務していた職場を利用されていると知って少々うれしい気分になりました。
「税務相談」事務は「調査」、「指導」、「広報」などの各事務と並んで税務行政を適切、円滑に運営するために地味ながら重要な役割を果たしています。
★税務相談室の生い立ち
納税者の多くが税に関する知識が必ずしも十分でないため、いつでも気楽に匿名で質問や相談ができるように昭和36年3月に「苦情相談所」から「税務相談所」へ改組され、相談体制がとられた経緯があります。
この組織変遷の名称からも垣間見られるように、特に電話税務相談室には相談ばかりではなく税務行政一般や個別税務調査へのクレーム、脱税情報その他ゼイキンにかこつけた世の中への不平不満等が数多く寄せられ、対応していて時には滅入ることもありました。
★税は世につれ
唄は世につれを真似るわけではないが、税法は毎年くるくる変わるので税は世につれという言葉があってよいと思い、その変遷についていけない人もいるかもしれません。
5年ほど前、元総理が仕事をしないのに会社は給料をくれたという話をマスコミは大きく取り上げ、「人生いろいろ、会社もいろいろ」というフレーズは流行語になりました。
報じられた翌日、税務相談室に「会社が働いてもいない人に給料を支払った場合、税務上は費用に認められるのか?」というクレームがかった電話がかかってきた。
「全く働いていない人に会社が給料を支払えば当然法人税上問題になりますが、話が何十年も前のことで事実関係がはっきりしていないため、この場ではこれ以上の回答はできません。」という紋切り型で済ませてしまった。
税務相談において「事実認定」を伴うケースは前提となる事実関係が変われば回答も幾通りになってしまうので慎重な対応にならざるを得ません。(無用な混乱を避けるためこのような場合、明確な回答を行わないのが普通です)
★税務相談室面接コーナーの行く先
面接コーナーでは普段税理士には縁のない個人の方々の相続・贈与・資産譲渡といったテーマの相談が多く、それなりに利用され存在価値がありました。
11月1日以降は廃止となるため、行政としてのサービス低下は避けられませんが、今後共相談のニーズはなくならないと思うので、その節は是非税理士を気軽に使っていただきたいと思います。 私共はひばりが丘駅前の事務所なのでいつでもお待ちしております。