★耐用年数と寿命
資産を購入する際、経理担当者は何年で償却すべきか、耐用年数で結構悩みます。
減価償却に関する税法の規定は企業会計において圧倒的な支配力、強制力をもっていますが、ここ数年は国際競争力強化、経済活性化のため減価償却制度が大きく変わりました。
①平成19年度改正・・・250%定率法の導入・残存価額(10%)の廃止・償却可能 限度額(95%)の廃止・所有権移転外ファイナンスリース取引は売買処理(リース期間定額法)
②平成20年度改正・・・機械及び装置の資産区分の大括り化と法定耐用年数の見直し
例えば鉄骨鉄筋コンクリート造事務所用建物は50年、パソコンは4年(サーバー用は5年)といった法定耐用年数の算定は通常の維持補修を加える場合にその固定資産の本来の用途用法により通常予定される効果をあげることができる効用持続年数によっています。
効用持続年数は予測できる程度の一般の陳腐化を織り込んでいることになっていますが、技術進歩の著しい業界の資産では見積耐用年数とのギャップを生じることもあります。
銀行対策上赤字を避けるため、決算に際し減価償却限度額の損金算入をしない法人が時々見受けられます。
この場合、税務上は問題ありませんが、減価償却がもつ本来の取得価額の期間費用配分という機能のほかに、キャッシュフローを伴わない費用化による流動性資産の留保という機能を逸することになります。
★長寿王国ニッポン
資産の耐用年数に関連して人間の寿命についても述べてみたい。
一般に人間が生まれてから死ぬまでの時間を寿命といいますが、厚生労働省が先に発表した平成20年の日本人の平均寿命は男性が79.29歳、女性が86.05歳です。
昭和30年時で男性は63.60歳、女性は67.75歳なので年々寿命は伸びていますが、この理由として医療技術の進歩や栄養状態の改善等が考えられます。
男性に比べ女性の寿命が長いのは女性には出産という大事な役割を担っているので、男性より心身ともにタフにできているという説には説得力があります。
日本の女性の寿命は世界第1位、男性は世界第4位となっていますが、国としては高齢化社会に向け、年金をはじめ医療、介護等の問題が山積しています。
なお現在生存者では沖縄の知念カマさんが114歳で長寿世界第1位です。
★泉重千代翁の思い出
私は昭和57年(1982年)当時ギネスブックに114歳で世界一の長寿といわれた徳之島の泉重千代さんに幸運にも会える機会がありました。
翁は慶応元年(1865年)徳之島伊仙町で生まれ、100歳近くまでさとうきび畑で労働をしていたそうです。
お会いした時は床の間に小さな体で座っていましたが、眼光は鋭く感じました。
話す際には翁の親類の方が通訳をしてくれましたが、時折発せられる「東京」とか「学校」という単語以外はほとんど理解できませんでした。
お会いした4年後に120歳でお亡くなりになりましたが、その頃彼の出生時期についての疑問がマスコミで取り上げられていました。
その後1997年にフランスの女性ジャンヌ・カルマンさんが122歳で死去したため、長寿のギネスブックは更新されてしまった。
泉重千代さんは黒砂糖から作った焼酎を好み、長生きの理由は「神様と仏様とお天道様のおかげ」と語ったそうです。
神仏に畏敬の念をもち、何事にも感謝の気持ちを忘れずに自然体で生きることができれば長寿は可能かもしれませんが、自分自身の寿命は神のみぞ知るということでしょうか。