はやぶさ

               
 ハヤブサという野鳥は、「鷲鷹目・ハヤブサ科 秋 9月ごろから日本に渡来する冬鳥、カラスよりやや小さく鳥類を主食とする猛禽類、ハト、ツグミ、ヒヨドリなどを好み時にはキジやカモなども鋭い爪で一撃することから、古来より鷹猟に使われる」 (「野鳥の事典」東京堂出版) とあります。大空高く飛翔しながら獲物をさがし、発見すると急角度、猛スピードで降下して捕獲しますが、降下速度は時速300㎞以上にも達するといいます。こうした生態が好まれてか、飛行機や列車などの愛称に使われてきました。
 ○ 一式戦闘機「隼 (はやぶさ)」
 太平洋戦争開戦時の旧日本陸軍新鋭の戦闘機、最高時速 515㎞、航続距離 2,200㎞、日本で初めての引込脚で、使いやすく操縦性が優れていることなどから先の大戦中に約 3,200機が生産されました。♪エンジンの音ゴウゴウと 隼は征く雲の果て・・・
「加藤隼戦闘機隊」という軍歌もありますが、この歌を知っている年代は70歳以上の人たちでしょうか。
 ○ ブルートレイン「はやぶさ」
 昭和33(1958)年10月 1日 東京~鹿児島間に新設された寝台特急列車 (ブルートレイン) の愛称、このはやぶさは平成21(2009)年 3月13日に最終運行、これで東京と九州を結ぶブルートレインはすべて廃止されました。昭和30年代九州各地から集団就職などで利用した人の数は知れません。
 ○ 東北新幹線「はやぶさ」
 本年12月 4日に東北新幹線の全線が開業します。既に試験運転を終え来年 3月から営業運転をはじめる新型車両 (E 5 系) の愛称がはやぶさです。緑・ピンク・白が基調の色鮮やか車両で、先端部分の「鼻」の長さが 15mもあります。
 ○ 小惑星探査機「はやぶさ」
 いま最も注目されているはやぶさです。宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は、平成15(2003)年 5月 M-5ロケットで地球から約 3億㎞離れた小惑星「イトカワ」に向けて小惑星探査機はやぶさを打ち上げました。「イトカワ」に着陸してその衝撃で舞い上がったほこりをカプセルに詰め込んで地球に戻ってくるというものでした。そして 6月13日60億㎞にも及ぶ長旅を終え、予定より 3年も遅れて 7年ぶりに地球に戻ってきました。この間はやぶさは 2か月間通信が途絶えるなど相次ぐ故障を引き起こし、満身創痍で奇跡的に帰還を果たしたのです。月以外の天体に着陸した探査機の帰還は世界初、日本のものづくりは世界一であることを実証した快挙でした。
 はやぶさは、予定どおりの地点にカプセルを降下させて役目を終え流れ星となって燃え尽きましたが、このはやぶさの運命にも多くの人々の心を揺さぶったはずです。
税理士法人みらい 代表社員
税理士 松 尾 正