「さんま、さんま そが上に青き蜜柑の酸をし
たたらせて さんまを食うはその男がふる里のならひなり。」とは、佐藤春夫の「秋刀魚の歌」の一節である。秋刀魚は字のごとく秋の魚である。では、夏の魚とは何であろうか。
鱸に鮑、関西では鱧だろうか。忘れてはならないのは鰻だ。土用の丑の日といえば、鰻を食するのが昔からの習わしになっている。この習いを紐解くと、平賀源内の説が有名だが、古くは、平安の時代からこの日に黒いものを食べるとよいとされていたそうだ。
万葉集の中でも大友家持が痩せこけた人にうなぎを取って食べたらどうだと歌っている。万葉の時代にも鰻が夏痩せに効果のある食品として認められていたのだ。黒いものなら、鰻でなくても、牛蒡でも魚でも何でも良かったそうだ。この習慣がずっと続き、江戸時代の初期には、土用の丑の日には京都で鰻や鱧を食べていたそうだ。
あんころ餅を土用の入りの日に食べる「土用餅」の習慣も「黒いもの」になるのだろうか。江戸時代の中期には、この習わしがあったそうだが、発祥はよくわからない。
某テレビ番組で渋谷の古今のグルメを紹介する番組があった。渋谷のトップバッターとして「渋谷松川」が紹介された。渋谷の鰻の名店である。この町の喧噪の中で、落ち着いて食せるお店で、食事の後にお汁粉がついて来るのもうれしい。土用餅の代わりだ。
気象庁によると、今夏(6月~8月)の平均気温は、東日本と西日本と沖縄・奄美で例年より高い確率が50%だそうだ。去年以上に夏負けに気をつけなければならない。
「土用に鰻を食べるは、みなのならひぞ」
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今年の暦は、
土用の入り 7月20日
丑の日 7月21日
二の丑 8月2日
土用明け 8月7日
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※「渋谷松川」様ホームページ」