こんにちは、佐藤秀海です。
皆さんは、家相にもいくつかの流儀や流派があることをご存知ですか?
意外と知られていないのですが、家相にはいくつかの種類があり、基本的な考え方さえまったく違うものもあるので、たまたま手にした家相の本に書かれていることだけ信じてはいけません。
たとえば、家相は方位学のひとつですから、方位の基準となる北方位を正確に知ることがとても大切です。まさに北方位を正しく知ることができなければ、家相の吉凶を判断することができません。
家相の吉凶は、家の形や玄関の位置、ガスレンジなどの火気やトイレや浴槽などの水まわりの位置を、家の中心から観てどの方位なのかで判断するのが基本です。つまり、表鬼門といわれる北東方位や裏鬼門といわれる南西方位に玄関や火気や水まわりが配置されると凶相になってしまいます。しかし、北方位が違っていてはどうでしょう。それこそ、すべての判断が間違ってしまうのです。
また、北はひとつではありません。一般的にも用いられているものには、磁石の示す北・磁北と、地図上の北・真北の二種類ありますが、家相学では、磁北を基準とします。理由は簡単。家相学は自然の理を説いた学問なので、自然界の指針となる磁北を使用することが当然だからです。
しかし、家相家の中には、磁北ではなくて真北を用いる人もいるので、困ったものです。確かに、建築の確認申請図書など建築にかかわる図面に明示するのは真北と法律で定められていますが、法律と家相は違うので、皆さんも「家相は磁北を用いる学問である」としっかりと覚えてください。たとえ、たまたま手にした家相の本に真北を用いると書いてあっても、間違えてはいけません。
次に、この真北と磁北がどれぐらい違っているかを説明します。東京では磁北は真北よりも西へ7度ほど偏差します。日本全体では北へ行くほど偏差が大きくなり、北海道で約10度、南にある沖縄では約4度偏差しています。詳しくは、国土地理院の資料をまとめた「西偏差角度表」をご覧ください。国土地理院のホームページには、詳細な数値が公開されています。
実は、この磁北と真北の相違からおきるトラブルも含めて、北に関するトラブルは多いのです。真北で家相を観て実際に建築してしまったケース、測量図やホームメーカーの図面に表示された真北を磁北だと勘違いしてしまったケース、そして、測量図や配置図に表示されている北がまったく違っていたケースまであります。時には、建築にかかわるプロの中にも、磁北と真北の違いをわかっていない人もいて、あきれてしまうこともありました。
もし、皆さんが自分で磁北を測る場合には、磁石を直接、地面や建物の床においてはいけません。また、近くに高圧線やエンジンのかかった車、踏み切りや線路などにも注意して測ってみてください。何箇所かで測り、平均値を取るのも有効な方法です。
家相にも流儀や流派があり、それぞれの中身が異なることについては、残念ながら建築士の方でも知らない人が多いのが現状です。一人でも多くの方に家相の智慧を正しく理解してほしいと思いますので、次回も引き続き、この点について紹介します。
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