赤池三男第二十四話「- 白書の話 -」(H25.7.22)

 6月中旬、国税庁から「平成24年度査察調査実績」が発表された。査察調査の脱税額と手口等が公表されて、国民の関心をかいました。昨年4月から今年3月の(マルサ)査察調査の実績を取りまとめた国税庁の調査発表記事です。
 内容は、この期問に191件調査して、告発129件、増差所得金額204億円、税額175億円などを、係数として纏めたもの。
 とりわけ脱税の手口の巧妙さが関心をよんでいます。隠匿場所が自宅リビングクッションに、物置の蚊取り線香缶に・・・。国民から見ると、こんな場所に隠して何でわかるのかなあ。と興味をよび、国税査察官の眼力に感心しています。流石、国税査察調査官。毎年この頃に定例的に発表されます。
 このほかに国税庁では、所得税もの、法人税もの、消費税もの嘗ては酒行政のものと、各税目ごとに発表しています。
 国税庁では、資料提供と言っていますが、一部マスコミでは「脱税自書」と称しています。
 メディアが政府発表ものを白書と呼んでいるものが多数あります。分かり易く、親しめるように、また権威付けて、勝手に白書と名付けています。
 7月10日に「平成25年度防衛白書」が発表されました。日本の防衛の実績・方針などを公表したものです。いつもの年だと、さして関心はありませんでしたが、今年に限って、公表した途端、内外国からコメントが出ました。中国国防相から「中国の軍事的脅威論を言いたてている」と。尖閣諸島の国交問題で鋭い批判が出ました。「防衛白書」は正規な白書です。
 正規な白書とは、①政府資料で②閣議において審議されたもの③日本の中央官庁の編集による刊行物のうち④政治・経済・社会の実態及び政府の施策の現状について、国民に周知させることを主眼とする報告書が該当すると在ります。
 嘗ては、警察白書、外交白書、犯罪白書など7白書でした。とりわけ興味があるのは、毎年7月経済産業省の白書。国民経済の年間の実質と分担、今後の方針などを記述したもので昭和22年から継続している。国民の注目をあびたのは昭和31年「もはや戦後ではない」が流行語になった。最近は正規なもの13件。国民生活白書、通商白書、文部科学白書など、非正規物を数えると40を超えています。
 白書の名の由来は、発表資料の表紙が白紙の物(White paper)をいい、文字通りの白書です。発端は、イギリス政府が外交文書に白表紙を付けたことから始まり。日本では昭和22年7月片山内閣の経済白書が初めてらしいです。国税庁の「査察調査実績」は、非公式白書?です。
 因みに、人気のある白書を一般公開して、刊行してみては?の要望があり、政府刊行物センターで販売しています。
 一番人気のあるプリント物は、防衛白書で四万千部の売れ行き。4,000円程度で英語版、マンガ版もあるそうです。
 売れ行きのいいものは、防衛白書に次いで、厚生労働白書が三万二千部、中小企業白書、環境白書・・・と続いています。