家相建築設計事務所様 連載(28)~家相の流儀・流派~(H25.12.1)

こんにちは、佐藤秀海です。
 
今回も、今年9月に発売された拙著「よくわかる家相と間取り」(エクスナレッジ)の中から、皆さんに参考にしてほしいケースを紹介いたします。
 
群馬県の住むIさんは、ご夫婦で歯科医院を経営されています。今から10年以上前に、Iさんのご両親からご自宅の鑑定を依頼されたのが縁で、長男であるIさんの歯科医院の設計監をしました。その後、歯科医院の経営も順調で、結婚もされたIさんは、数年前から自宅建築の準備を始めました。忙しい中、ご夫婦で何か所も土地探しを行いましたが、なかなか良い物件と縁がありません。
お二人の希望は平屋でゆったりと暮らすこと。車が好きなIさんはガレージも作りたい。
平屋は家相学上も最良ですが、建物の構えを整えながら採光と通風を確保するのは容易ではありません。さらに、別棟となるガレージは、母屋からある程度離さなければいけないため、どうしても広い敷地が必要になってしまいます。
 
最初に出張鑑定した土地は周囲の環境とIさんたちの希望があってなく、とてもゆったりと過ごせる土地ではなかったのです。
忙しいIさん夫婦は、仕事が終わってから夜にこの土地を見に行かれたので、静かな土地だと思いこんでいました。しかし、日曜の午前中でも近くの畑から作業する農機の音がうるさく、工場もあるので昼間はとても騒がしい土地だったのです。
 
次に鑑定した土地は環境もよく敷地の広さも十分でしたが、道路付きが悪く無難な家相の間取りが取れません。この土地は、Iさんの同級生でセキスイハウスにつとめる友人のМさんの紹介でしたので、その場に同席されたМさんに私から、あらためて敷地の条件を説明したところ、なんと、すぐ近くにその条件にあった土地があるとのこと。急遽、予定を変更してその土地へ向かいました。
 
結局、その土地に新築することになったのです。
その土地は、セキスイハウスで建築することを条件にした、いわゆる「建築条件付きの敷地」です。実は、この敷地はもともと2区画だったものを1区画にまとめました。平屋でガレージ付き、さらに、家相も吉相とするなら、どうしても2区画分のスペースが必要になります。また、セキスイハウスさんにも2区画を1区画にまとめることを快く了承してもらえたので、めでたく新築をすることになりました。
 
土地探しは難航したIさんでしたが、私の設計した平屋の間取りとガレージの配置を気に入り、また、セキスイハウスさんとの相性も良く、とても満足した新築事業だったそうです。
 
家には家相があるように、土地にも地相があります。自分たちの希望する間取りを実現するためには、どんな土地が適しているのか。当たり前のことですが、これがわからず、失敗する人たちも多いのが現実です。ポイントは、しっかりと自分の目でその土地を観ること。気になったら昼でも夜でも何度でも現地に出かけてください。そして、信頼のおける建築士や施工会社の担当者など、プロのアドバイスも重要です。