税理士並河のよもやま話「タカラヅカ讃歌」(H26.9.8)

1 宝塚歌劇の府中公演に思う
宝塚歌劇といえばテーマ曲「すみれの花咲く頃」のように華やかで非日常的な夢のような世界に誘う、魅力的なエンターテイメントであると思います。
私が住んでいる府中市が市制60周年となった記念行事として、府中芸術の森劇場で9/5宝塚歌劇の公演があり、普段はチケット入手が難しいが、ネットでうまくゲットできた。
演じるは宙組の「ベルサイユのバラ・・フェルゼンとマリー・アントワネット編」です。
この宝塚のロングセラーである「ベル・バラ」の初期の演出家がかつての美男俳優「長谷川一夫」であることは私のような古い人間にとって嬉しいことです。
客席は2千席近くありますが、宝塚の大劇場のようなステージ階段やオーケストラもなく、出演者が35名とこじんまりした舞台ですが、地方公演なので贅沢は言えません。
観客の95%は女性客です。(余談ですが、その極端な男女差ゆえ男子トイレは地下1階のみとなり、残りは女性用になりましたが、長蛇の列はすざましくお気の毒な状態でした。)
入場の際に渡された宣伝チラシの中に「宝塚音楽学校の生徒募集」がありました。
それによると<募集人員> 女子約40名(例年競争率20倍という狭き門で有名)
<募集資格> 平成8年4.2~平成12年4.1生まれの容姿端麗で卒業後に歌劇団生徒として舞台人に適する方 <修業年数> 予科1年、本科1年の計2年間
<試験科目> 第一次面接、第二次面接、歌唱、舞踏 第三次面接、健康診断
公演の際に生徒募集のチラシが配布されたのは少し驚きましたが、音楽学校を卒業した同期には○○期生となって初舞台を経て、「花組、月組、雪組、星組、宙組」という組配属になり、スターを目指し本格的な舞台活動が始まります。
歌劇のストーリーは革命に揺れ動く18世紀のフランスを舞台に、定番となっている「オスカルとアンドレ」は脇役として出ていますが、主役はスウェーデンのフェルゼン伯爵と王妃マリー・アントワネットの悲恋の物語です。
もともと才能のある人たちが音楽学校で2年間厳しく歌や演技、しつけなどを身につけてからの舞台なので歌はみんな上手であり、踊りもまた一糸乱れぬ美しさ、力強さがあって、特に男役の組ダンスの掛け声は迫力がありました。
宝塚の場合、むかしから男役のトップスターが男装の麗人としての格好のよさで最高の人気を博していますが、今回でもフェルゼン伯爵役を演じた「朝夏まなと」の美しくも精力的な声が大変印象的でした。

2 宝塚百年の歩み
宝塚歌劇は阪急電鉄の創業者小林一三の発案で1914年に初公演を行ってから百年という長い歴史を刻んできました。 (電鉄会社の沿線活性化の先駆的役割を果たす)
大阪の阪急梅田駅から電車で35分の兵庫県宝塚市に大劇場を作り、日本で初めてレヴューを上演しましたが、全国的な人気はやはり東京へ進出してからになります。(系列である映画の東宝は東京宝塚からきています。)
宝塚出身のスターを自分なりに以下のように列挙してみました。
・葦原邦子・天津乙女・轟友起子・霧立のぼる・月丘夢路・乙羽信子・高千穂ひずる
・淡島千景・久慈あさみ・越路吹雪・新珠三千代・春日野八千代・有馬稲子・朝丘雪路・
・八千草薫・寿美花代・淀かほる・鳳八千代・扇千景・真帆志ぶき・浜木綿子・
・那智わたる・甲にしき・上月晃・古城都・榛名由梨・鳳蘭・安奈淳・真矢みき・
・麻美れい・寿ひづる・遥くらら・大地真央・黒木瞳・一路真輝・天海祐希・
・真琴つばさ・檀れい・etc.
これらのそうそうたる顔ぶれを見ていると、宝塚歌劇団出身者が如何に数多く、映画、テレビ、演劇等日本の芸能界で活躍しているかがわかり、その存在感の大きさを改めて感じさせます。

3 宝塚ファンと期待
今回府中公演の最後に鳴り止まない拍手の後の幕間に団員中、東京出身者が紹介され、その中でもアンドレ役をやった地元出身の「蒼羽(そらはね)りく」が一段と大きい拍手を受けていました。
彼女は都立神代高校を卒業、93期生として入団し、順調にスター路線を歩んでおり、今後の活躍が楽しみです。
宝塚のファンは観客の95%が女性で占められていますが、熱狂的な女性のファンの中にはいわゆる追っかけとなって、ひいきのタカラジェンヌについていきます。
劇場付近では出待ちや、入り待ちにファンが集まって、スターとの激励交換やプレゼントをする光景を目にします。
公演中に観客からの拍手が何遍も起きますが、演じている人が気持ちの良くなるようなタイミングで行われています。
生の公演はこの舞台と客席の一体感が強いかどうかで盛り上がりが違い、興行としての成否もそこにあります。
この未婚の女性だけで構成されている、世界に希なる特殊なこの歌劇団はジャンルの古今東西を問わずチャレンジして進化を遂げ、時には海外公演を行い、歌舞伎、相撲と並んで日本の誇る伝統文化の旗印としてますます発展してほしいと願わずにはいられません。