7月5~6日に福岡県と大分県の県境を襲った「平成29年7月九州北部豪雨」は、大規模な土砂崩れや洪水をもたらし死者・行方不明者41人の犠牲者を出しました。いわゆる「線状降水帯」により、筑後川に注ぐ中小河川の一帯に大雨が降り続き、土砂崩れが山間部に集中し立木が根こそぎとなって濁流とともに平地に流れ込み、多くの住民が犠牲となったのでした。大量の土砂と夥しい流木によって、住宅はもちろん道路、橋梁や田畑などにも被害をもたらし大きな経済的な損失も発生しました。この地域は5年前にも線状降水帯に見舞われ大きな被害が生じたところでしたが、今回は5年前の雨量を上回る猛烈な雨でした。数十年に1度あるかないかの「大雨特別警報」が発せられ、記録的な豪雨が5年の間に2度もあったという異常さでした。
この九州北部豪雨から2週間余り経った7月22日から、豪雨は秋田県を襲いました。記録的な豪雨により、土砂崩れ、濁流が住宅を襲い道路、田畑などがどろ水に浸り、秋田新幹線の線路も一部崩れ落ちるという大きな被害が発生しました。秋田県によれば、被害地域は北部の大館市から南部の由利本荘市までの全県に及び、住宅被害は950棟以上が確認され道路の寸断で孤立した集落もありました。上空からの映像では、氾濫した川はどこかわからず一面赤茶色のどろ水で覆われていた様子が見られましたが、農林分野の被害の全ぼうは確認されていないものの100億円超の被害と見込まれています。秋田新幹線は、大曲-秋田間の2か所で線路に土砂が流れ込み、一時不通となりました。
例年梅雨の末期には、全国各地で大雨に見舞われることがありますが、今年は九州から中国、関西などでも豪雨に見舞われ、秋田・山形・新潟の各県という日本有数の銘柄米の産地がことごとく豪雨の被害を受けました。このたびの秋田県などの豪雨と九州北部の豪雨の共通点は、梅雨前線が一旦北上したものの上空の寒気により再び南下し、暖かく湿った空気と衝突したことが豪雨の引き金になったと気象庁などの専門家は分析しています。
日本列島で多くの被害をもたらした梅雨が明けたところですが、これからは台風シーズンの到来です。昨年は8~9月に集中して14個の台風が発生し、うち10個が日本に上陸したり接近したりしました。今年7月下旬に発生した台風5号は、南鳥島沖合の太平洋上で1回転しながら今後の進路をさぐっているかのようです。
終わりになりましたが、このたびの豪雨により被災された方々には心からお見舞申し上げますとともに、被災地の早急な復旧、復興を心から願ってやみません。
税理士法人みらい 代表社員
税理士 松 尾 正