代表ブログ「明治150年」(2018年5月1日)

 高校の日本史、世界史で学ぶ用語を現在の半分の1600語程度に減らすべきであるという提案が、昨年11月高大連携歴史教育研究会(「高大研」)によりまとめられました。高大研は高校、大学で歴史教育に携わる教員が構成員で会長は油井大三郎東京大学名誉教授であり、用語の精選案についてアンケートを実施するなどして、最終案をまとめることとしています。油井会長によれば、「歴史=暗記という固定観念を脱し、考える楽しさを伝える教育に変える必要がある」としています。特に人名や文化に関する用語は、知名度が高くても歴史上の役割を考慮して大幅に減らすこととしています。日本史の人名では武田信玄、上杉謙信、吉田松陰、坂本龍馬などが「実際の歴史上の役割や意味が大きくない」との理由から削除対象となっています。
 坂本龍馬は、幕末期に土佐藩を脱藩し薩長同盟の締結、大政奉還実施への道筋をつくるなど獅子奮迅の活躍をしましたが、明治維新の三大立役者は、桂小五郎の木戸孝允、西郷隆盛、大久保利道となっています。確かに戦後昭和30年代までは桂小五郎や近藤勇、鞍馬天狗などがメジャーで、坂本龍馬は一般的にはそれほど知られた存在ではありませんでした。坂本龍馬を一躍幕末のスターダムに押し上げたのは、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」ではなかったかと思います。司馬遼太郎は作家であり、「歴史をつくる歴史家」という人もいて「竜馬がゆく」は、昭和37(1962)年6月から4年間1335回にわたり、産経新聞夕刊に連載された新聞小説です。その後単行本や文庫本となって出版され多くの人々に読まれて、昭和43(1968)年にはNHK大河ドラマ第6作にもなるなど、坂本龍馬は司馬遼太郎により国民的英雄になったともいえます。
 平成30(2018)年は、明治元(1868)年から150年になります。ようやくたどり着いた明治は、日本が近代国家として世界に向かって立ち上がっていく時代でした。明治維新150周年という節目に立って明治を眺めるとき、国だけではなく地方公共団体や民間を含めて日本各地で「明治150年」に関連する多様な取り組みがされようとしています。政府は「明治150年関連施策各府省連絡会議」を設けました。①明治以降の歩みを次世代に遺す施策②明治の精神に学び、更に飛躍する国に向けた施策③明治150年に向けた機運を高めていく施策という三つを柱として関連施策を推進しています。                                                    

 150年経った現在、明治維新の史実には、多くの異説や謎があります。真実の追求は新しい資料・文献の発見に努めている歴史学者などの専門家にまかせることにして、現在進行中のNHK大河ドラマ「西郷(せご)どん)」で幕末・明治の歴史ドラマを楽しみますか。「今宵は、ここらでよかろかい」。

 

                      税理士法人みらい 代表社員

                         税理士 松 尾  正