大相撲九州場所は、11月11日から15日間福岡国際センターで始まります。この場所では、平成22(2010)年の九州場所で幕内優勝決定戦にも進んだ元関脇の豊ノ島が、度重なるケガを乗り越えて2年ぶりに関取に返り咲きを果たしました。幕内時代は技能力士として三役としても活躍したベテランも、東前頭11枚目の平成28(2016)年名古屋場所で左足アキレス腱を断裂という重傷を負い、この2年間は再びケガが重なって幕下に低迷し、今年3月の場所では幕下35枚目まで番付を下げてしまいました。先月の秋場所ではケガも回復し、西幕下筆頭で初日から4連勝し6勝1敗という成績を挙げ、この九州場所から再び大銀杏で土俵に上がることとなりました。幕下では妻子
を養わなければならないのに無給生活が続き、十両復帰が有力となった一番で勝ち越した豊ノ島は、花道を引き揚げると感極まってタオルで顔を覆ったと報じられました。年齢35歳、「この先長くできる相撲人生ではないけれど、家族のためにも元気で楽しんで相撲を続けていきたい」と語っています。
同じように、三段目で再起をはかっている力士に宇良がいます。幕内の土俵では小兵ながら活躍し金星まで挙げた業師も、1年前7月場所で右ヒザ靱帯を負傷し、1年のブランクを経た秋場所では6勝を挙げ番付を三段目中位で九州場所を迎えようとしています。まだまだリハビリの段階で完全復活までもうしばらく時間を要しそうですが、平成4(1992)年生まれの25歳と豊ノ島よりも10歳も若く、人気小兵力士の関取復帰が待たれるところです。
そして8場所連続休場した横綱稀勢の里が、秋場所に臨み10勝5敗の結果を残しましたが、全盛時代の左からのおっつけの強さはあまり見られませんでした。優勝争いにも絡めず横綱としては当然物足りない成績であり、進退問題が落着したとは判断が分かれるところです。横綱審議会の北村委員長は「10勝の中味についていろいろ言う人もいるかもしれないけれど、復活の足場はできた」と評価しています。稀勢の里本人にとっても希望が見えた15日間であ
ったことは間違いないところですが、強い横綱への道は九州場所で問われそうです。稀勢の里自身は「九州場所では、もっと強くなって頑張る」と現役続行を宣言しています。
この1年大相撲界は、昨年の横綱日馬富士の暴行事件、貴乃花親方の日本相撲協会の退職など土俵上の勝敗以外でもいろいろなことがありました。とはいえ毎場所「満員御礼」のたれ幕が続いている人気スポーツです。上から下まで活躍が期待される大相撲と、今季のレギュラーシーズンの観客動員数がセ、パ両リーグ合計で2555万人と過去最高を更新したプロ野球は日本のプロスポーツの双璧と言えます。
税理士法人みらい 代表社員
税理士 松 尾 正