昨年から、私は仕事の傍ら大学院に通っているのですが、前期が始まる直前にコロナウィルスの感染が拡大し、予定通りに講義は始まりませんでした。対応策として、教室では距離をとって着席するなどの案が出されていましたが、結局、2週間遅れでオンライン会議ツールZoomによる講義がスタートしました。
googleでZoomの使い方を検索してみると、youtubeの使い方解説動画が多くヒットすることに気が付きます。デジタルネイティブ世代を中心に、googleではなく初めからyoutubeで検索する人も増加しているようで、動画であるが故の「分かりやすさ」が支持される要因なのではと思います。
話を戻し、Zoomを使ってみると非常に「使いやすい」ということが分かります。実際に対面で話しているのと変わりはないですし、画面共有機能(赤ペンなどで描写も出来る)は、対面以上に分かりやすいものがあります。なにより、物理的な繋がりを必要としないことが最大の「使いやすさ」ではないでしょうか。
自粛期間中のさなか、Zoom Video Communications社の時価総額(なんと487億ドル!)が航空最大手7社の時価総額を上回ったという特徴的なニュースがありました。渡航制限の影響が大きいとはいえ、Zoomを使えば遠くの人とも気軽にコミュニケーションが取れるということに世界中の人が気付いた瞬間でもあったかもしれません。
航空会社は、渡航制限解除の具体的な目処がたっておらず、先行きが不透明な状況が続いていると記事は締められていましたが、先行きが不透明な中でも「分かりやすさ」や「使いやすさ」というものはいつの時代も支持され続けるのではないでしょうか。そして、一旦「分かりやすさ」や「使いやすさ」を経験すると、もう後戻りすることはなく、方向性としては、一方向に進んでいく、つまり、不可逆的なものだと考えられます。
ところで、大学院でZoomが導入された当初はあくまで自粛期間中の特別な措置という位置づけでしたが、結局は、前期の講義は全てZoomによることなりました。ここで一つ疑問が生まれます。後期においても、Zoomではなく対面による講義でなければならない合理的な理由はあるのだろうかと。
杉本道郎