賃貸物件の運気を上げる
家相建築のすすめ
第7回 家相学と十二支方位
今回も賃貸物件の家相について説明したいと思います。家相建築の知恵を活用して、実りあるアパート経営を目指してください。
家相学は進化する学問なので、時代と共に考え方も変わっています。もちろん、どんなに時代が変わっても変わらない原理・原則はありますが、設備機器の進化によって考え方が変わるのは当たり前だと思います。例えば、家相上危険な不浄物とされるトイレは、汲み取り式の便所と下水道や浄化槽を用いるものでは、家相学での扱い方は当然違います。無難とされる方位も汲み取り式の便所の方が少ないので、ごく限られた方位にしか設置できませんでした。浄化槽や公共下水道の普及により衛生面が向上し、無難とされる方位も増え、本当に便利になったと実感します。
家相学が進化したのは、設備機器による影響だけではありません。今から40~50年ほど前に、家相学上の大きな変化がありました。昔の家相学は、鬼門を中心とした吉凶判断で行ってきましたが、それに加えて個人で異なる十二支方位でも吉凶判断を行う考え方が生まれたのです。
昔は誰に対しても鬼門とされる家相のみが頼りでした。北東の表鬼門、南西の裏鬼門に玄関や門扉があるのは大凶相。また、ガスコンロなどの火気やトイレなどの水まわりがあると家人に病気が絶えない、と判断していたのです。この考えは今でも正しいのですが、「鬼門以外の方位に玄関や門扉があれば大丈夫。火気や水まわりも鬼門を避けてさえいれば問題なし」と言い切ってしまうのが問題でした。
例えば、北西にあたる十二支方位の戌方位と亥方位、そして東南にあたる十二支方位の辰方位と巳方位生まれ星を持つ、戌年・亥年・辰年・巳年生まれの被害が大きかったのです。昔の家相では、鬼門を避けて、無難だとされていた北西方位や東南方位に玄関・門扉・火気・水まわりを集中して配置するのが当たり前でした。そのため、家相を気にして家を建てると、必然的に北西や東南に玄関や火気などが集中します。そんな家に住んでいた戌年・亥年・辰年・巳年生まれの人たちは、運気に恵まれず努力が実を結ばないとか、病気やけがに悩まさるなど良いことがありません。そこで、だれに対しても危険な鬼門方位と、住む人によって異なる十二支方位を併せて観ることが大切だといわれるようになりました。
家相の精度は格段に上がっています。昔の家相では精度が低く、「家相を気にして家を建てたのに、運が上がらない」「引っ越してから家族が病気がちだ」という声も聞かれましたが、だれに対しても危険な鬼門方位だけではなく個人で異なる十二支方位と共に吉凶判断をすることで、こんな声も減ってきました。今では、ほとんどの流儀や流派で十二支方位も大切にするように変わってきています。
この考え方を世に広く知れ渡されたのが、私の恩師である鶴野晴山先生です。鶴野先生は多数の著書を出し、テレビなどにも多く出演。新しい家相学の普及に尽力されました。そして私は、その家相の知恵に建築の知識を加えて進化させた「家相建築」を広めています。
賃貸物件の場合には、個人の十二支方位まで考慮するのは難しいですが、家主の皆さんの自宅では、ぜひ、家族の十二支方位を組み合わせて家相の吉凶判断をするようにしてほしいと思います。
家相建築設計事務所 代表 佐藤秀海