代表ブログ「長寿国ニッポン」(2017年9月1日)

 ものには何であれ寿命があり、台風にも短命なものと長生きのものとがあります。7月21日、日本最南端にある南鳥島付近で生まれた台風5号は、発生から18日と18時間にわたって勢力を保ち、消滅までの寿命は歴代3位でした。ただ日本列島に上陸した台風としては最も長寿の台風で、太平洋上を不可解な動きと迷走を続けながら九州南部から日本列島をゆっくり北上しました。気象庁によれば、台風の平均寿命は5.3日、これまでの最長記録は昭和61(1986)年夏に襲来した14号の19日と6時間でした。
 台風の寿命はさておき、厚生労働省の調査によると平成28(2016)年の日本人の平均寿命は、女性87.14歳、男性80.98歳でいずれも過去最高を更新したことがわかりました。過去最高の更新は女性が4年連続、男性は5年連続であり、国際比較では日本は男女ともに世界2位で、今や世界有数の長寿国となっています。日本人の平均寿命は、戦後一貫して延び続け、昭和22(1947)年と比べると女性は33.18歳、男性は30.92歳も延びています。厚労省では「医療技術の進歩に加えて、健康志向が高まり対策も進み、自殺者が減ったことも影響している」と分析しています。
 京都府立医大と弘前大などのチームは、100歳以上の人口割合が全国平均より高い京都府北部の丹後地域と平均寿命が短いともいわれている青森県の健康状態を比較して、長寿の秘訣を探る研究を始めました。今年1月1日現在、人口10万人当たりの100歳以上は全国平均で約50人ですが、京都府の京丹後市、宮津市、伊根町、与謝野町からなる丹後地域には、約2.7倍の約135人います。平成25(2013)年に116歳で亡くなり、男性では世界最長寿とされていた木村次郎右衛門さんも京丹後市の在住でした。
 ある生命保険会社の還暦を迎える人を対象にしたアンケートによると、実年齢60歳でも精神年齢は46歳と気が若く、情熱を絶やさない生き生きとした姿が浮かび上がっています。総務省の人口調査で65歳以上の割合(高齢化率)が一番高いのが秋田県の34.1%となっていますが、秋田県はシニア世代が生き生きと働き続けられる先進地であるとされています。厚労省の「高齢者の雇用状況」調査によれば、70歳以上でも働ける企業の割合は秋田県は32.9%(全国平均21.2%)で、3年続けて全国1位となっています。「豊富な経験や知識は職場で次世代の育成に貢献し、地域の活力にもつながっている」と地元の担当者は実感しているといいます。
 こうしたお年寄りたちにとって今後の人生の不安は「身体能力の低下」(62%)がトップで、「年金制度の崩壊」(59%)「老後の貧困」(53%)と続き、半数以上が老後の資金の不安を抱えているといいます。

税理士法人みらい 代表社員
税理士 松 尾  正