ふるさと納税<H19.06.27 更新>
気象庁は、今年 4月から気象用語の一部を改めました。従来は、気温30度以上の日を「真夏日」と呼称していましたが、地球温暖化などの影響で35度を超す日も珍しくなくなったため、これを「猛暑日」と言うことにしました。この 7月、 8月に猛暑日が何日位あるだろうと予測する関係者もいたことでしょうが、何と 5月27日に九州・大分県と宮崎県で36.1度、35.4度と初めての猛暑日を記録しました。こんなに早い猛暑日は、関係者も予測していなかったことと思います。ちなみに観測史上日本の最高気温の記録は、昭和 8年 (1933年)7月25日山形県でのことで、温度計は40.8度を示しました。このころはまだ地球温暖化といった気象現象はなく、山形盆地特有のフェーン現象の影響であったと記録されています。
さて、暑いのが当たり前の夏休み、おとなも子どもも長い休暇を利用したレジャーなどの計画が盛りだくさんのことと思います。海外を含めて海や山のレジャー、そして懐かしいふるさとへの帰郷があります。年々老いゆく両親の下へ、元気な姿を、すくすく育った孫たちを見せにふるさとに帰省し、先祖のお墓参り・・・日本的な情緒たっぷりの光景が目に浮かびます。「ふるさと」、日本人の好きな言葉ランキングで
は常に上位にあります。
ところで、住民税の 1割程度を都会に出た人が生まれ育った故郷の自治体に納めるという「ふるさと納税」が現在多くの反響を呼んでいます。都会と地方の税収による地域間格差を是正するだけでなく、地域活性化に役立つ策として浮上してきました。
地方が行政コストをかけて子どもを育てても、納税者になるころには都会に出てしまい、過疎地に残した老いた親に対しては、その地方公共団体が義務として行政サービスを行う。だからこの財政負担を都会で働く子どもに求めるという論理。一方で、住民税には「受益者負担」という大原則があり、「ふるさと納税」は税体系を崩すおそれがある。地域格差は、地方への税源移譲や交付税の拡充などで対処すべきであるとの反対論。当然のごとく、東京都等の大都市は反対、地方は賛成となり、 7月の参院選挙に向けての地方対策だという冷めた見方もあります。現在、賛否両論飛び交う議論、検討の段階で、果して今後どのようになるのか気になるところです。
税法で「ふるさと」が定義付けられることになると、日本人の好きな言葉から情緒性が失われていくような気がしますが、この夏の帰郷は親兄弟ばかりではなく、地域全体からいつもより温かく迎えられるかも知れません。
税理士法人みらい
代表社員税理士 松尾 正