うなぎ

うなぎ <H19.07.27 更新>
 今年の「土用の丑の日」は、 7月30日です。我が国では、毎年この時季に家庭や専門店でうなぎのかば焼きを食べる風習があります。古来、うなぎは夏やせの妙薬とされ、江戸時代に蘭学者の平賀源内が広めたといわれています。現在、日本人のうなぎ好きは世界一です。何しろかば焼きは、すし、天ぷらとともに日本人の三大好物の一つともいわれ、世界のうなぎの全需要の70%を占めるのが日本です。
 うなぎの生態については、まだ正確に解明されておりません。稚魚( シラス ) の段階で捕獲し、養殖するのが一般的になっていますが、多くの稚魚はヨーロッパで捕獲され、それが中国で育てられて、はるばる日本の食卓にのぼります。ところが、先般ヨーロッパでの稚魚の捕獲が大幅に規制されることになりました。うなぎの稚魚の個体数が全盛期の 2%まで激減したためだそうです。このことによって、今後中国を経由して国内市場へ入ってくるうなぎも当然激減していく、値段が上昇し、うなぎの高級感が更に高まっていくことが容易に予想されます。
 ある文豪がうなぎ屋でかば焼きの頭にかぶりつき、釣り針に噛み当たったところ、店主に苦言どころか天然うなぎに間違いないと大いに喜んだそうです。「針が残っていたらごめんなさい」と天然ものを強調する店もあるやに聞きますが、今や99・5 %が養殖うなぎだそうです。天然ものが是、養殖ものが否というのではありませんが、天然ものでしかも針が残っているうなぎが客に提供されるようなことは、まずないと言えるでしょう。
 私がまだ役所勤めしていたころに聞いた、うなぎにまつわる愉快な話。
 職場のA氏が若輩のころ、上司がお客様である外国人を車で案内することとなり、少しばかり英会話ができるということからA氏が通訳として随行することになりました。
車が静岡県の浜名湖周辺に至った時、「この辺は、全国一のうなぎの養殖場である」との案内までは何とかしたものの、「うなぎというのは、鵜が難儀して飲み込まなければならないことから、『うなんぎ』→『うなぎ』と言われるようになった。A君通訳しなさい」と。A氏はこの時ばかりはほとほと困り、うなぎよろしくぬらりくらりと逃げたそうです。
 先に述べたうなぎ稚魚の捕獲規制の日本への影響は、来年以降と市場関係者は言っています。しばらくの間は、通常の価格だそうですから夏バテ防止にかば焼きを食べてこの暑さを乗り切ってください。
 おしまいに、戯れ歌を紹介して結びとします。
 『恋痩せに 鰻さかせる 筋ちがい』
税理士法人みらい
代表社員税理士 松尾 正