★スポーツの秋によせて
新しく鳩山内閣がスタートし、巷の沈滞ムードを一新して欲しいと願っておりますが、8月末に日本経済新聞社が「スポーツによって日本経済を元気にする」というユニークなシンポジュウムを開催しました。(パネリストは宗茂、谷本歩美、上野由岐子等)
スポーツは適度な運動による健康、体力増強という身体的効果だけでなく、ストレス発散、興奮といった心理的精神的効果があり、老若男女を問わずその効用、便益は計り知れないものがあります。
またチームプレーを行う集団スポーツでは勝つための努力、闘争心もさることながら、集団の中の自分の役割認識、自己犠牲、連帯感、礼儀作法といった社会生活の訓練が凝縮しているので特に幼少、青少年期には多くの者に体験してもらいたい。
10月2日にはIOC総会が開かれ、四つの候補地(東京、シカゴ、マドリード、リオデジャネイロ)の中から次回のロンドン五輪の後の2016年の夏の五輪の開催地が決定します。
1964年(昭和39年)の東京五輪での金メタル獲得数は一位がアメリカ(36個)、二位はソビエト(30個)、三位が日本で16個でした。(当時は柔道だけでなくバレーボール、レスリング、体操等が強かった)
記憶に新しい昨年の北京五輪では中国が断トツの一位(51個)、二位アメリカ(36個)、三位ロシア(23個)で日本は8位(9個)となり、中国が主催国として国威の発揚を内外に示す一大イベントとなりました。
★企業とスポーツ
企業はもともと営利を目的とした団体なので「費用対効果」の原則が働きますが、企業スポーツの存在は芸術活動の後援同様に社会的貢献としての価値を有しています。
今夏の都市対抗野球の決勝戦はトヨタ(豊田市)とホンダ(狭山市)の自動車会社同士で争われ、ホンダが二度目の優勝を勝ち取りました。
準決勝でトヨタに敗れた日産自動車硬式野球部は企業リストラの一環で今年の12月いっぱいで休部となることが決定しましたが、過去に2度の優勝の実績を持つ名門チームの早期の復活が待たれるところです。
その一方、経営不振が続いていた三洋電機にあってラグビー部の存続が心配されていましたが、今年2月の日本選手権においてサントリーを破って2連覇を達成し、企業スポーツが企業本体や周囲を元気づけるという涙ぐましい話もあります。
★部活の税務調査の思い出
ある会社に税務調査に行った時の話ですが、その会社は部活として9人制女子バレーボール部があり、国体の出場目指して活動をやっていました。
一緒に調査に同行した調査官がバレー部の活動費が部の監督の個人預金口座を経由して使われていたことを見つけ、使途不明金で否認するとして会社の中堅幹部であるバレー部の監督を呼んで厳しく追及していた。
私は昔、日清紡本社の9人制女子バレー部のコーチ兼球拾いを1年超やっていた経験から、活動費の大半が練習時のパンやジュース等夜食代に消えているという監督の説明が痛いほどよくわかるため、会社を説得しないで同僚を説得して否認せずに、指導事項としての注意にとどめたことがありました。
企業スポーツの中には潤沢な予算を確保して華々しく活動しているところがあるかもしれませんが、その多くは勤務時間終了と同時にあわただしく練習場へ移動して、少ない予算で目指す大会等に向け精進しているというのが実態といえましょう。
最近のプロスポーツ界に目を転じれば、大リーグでのイチローの活躍やゴルフでの石川遼君の活躍で盛り上がっているところもあります。
スポーツに限らず日本の各界においても第二のイチロー、遼クンのようなスーパースター、ニューヒーローの出現が待たれます。