東京スカイツリー<H22.3.29 更新>
東京の下町、墨田区押上に建設中の電波塔「東京スカイツリー」が早くも東京の新名所になりつつあります。着工から約 1年、工事は順調に進み今年 2月には高さ 300メートルを超え、 3月中に 333メートルの東京タワーを抜いて日本一の高さまで到達しました。完成時の高さ 634メートルは世界一、平成23(2011)年末までに完成し平成24(2012)年春には観光利用も兼ねた電波塔として開業を目指しています。当初の計画では高さ 610メートルでライバルと目する中国・広州のテレビ塔( 建設中) と同じ高さでともに世界一でありましたが、単独の世界一とするために昨年10月に24メートル延長する計画変更がなされました。事業主体の東武鉄道では、中国のテレビ塔を意識してぎりぎりのタイミングでの計画変更であったとコメントしています。中国のテレビ塔がどう対応するのかしないのか不明ですが、24メートル高くするのはアンテナ部分で構造や建設費 (約 600億円) には変更はないとのことです。
東京スカイツリーの高さが 300メートルを超えて遠方からも見えるようになるにつれ、見物に訪れる人が増えてきています。週末ともなると建設途中のタワーに未来を託し、思い出づくりの記念撮影をする人々が多く見られるようになってきました。開業は 2年先とはいえ「世界一はまちの誇り」と地元墨田区では商業施設をはじめ、街づくりに弾みがついてきました。「はとバス」の観光ルートには既に織り込まれ、観光客が歩いて楽しめるための歩道の敷設、下町情緒を生かした町並みづくりなどが着々と進められています。気の早い銭湯では定番の富士山の絵に替えて東京スカイツリーのペンキ絵が男湯に登場したといい、墨田区では開業後の区内への経済効果を 880億円と試算しています。
昭和33(1958)年12月に開業した 333メートルの東京タワー、東京のテレビ各局の電波をまとめて関東一円に流すことを目的として建設され、戦後の日本繁栄のシンボルとして半世紀以上が過ぎました。昭和32(1957)年 6月に着工して約 1年半で完成させ、 パリのエッフェル塔を抜いて世界一の鉄塔となり、東京の観光スポットとしても名をなして最盛期の入場者は 1か月に55万人にものぼり、多くの人に思い出と愛着をもたらしてくれました。現在アナログとデジタルのテレビ放送など24波を送り出していますが、東京スカイツリー完成後電波を送り出す役割がどのようになるのか今のところ未定だそうです。
昭和30年代高度成長の象徴として人々の心に残っている東京タワーですが、東京スカイツリーは後世まちがっても長引く不況・混迷する政局の時代のシンボルとなって欲しくないと願うばかりです。
税理士法人みらい
代表社員税理士 松 尾 正