昨年6月世界文化遺産に登録された「富士山」の認定書伝達式が 4月21日外務省で行われ、静岡県知事、山梨県知事に認定書のレプリカが渡されました( 実物は外務省で保管) 。その富士山、私たちのころの学校では「休火山」と教えられましたが、現在では1万年以内に噴火したことがある火山は「活火山」とされています。富士山の噴火は約 300年前、宝永 4(1707)年に南東部の山腹で起きた大規模な爆発的噴火の宝永噴火までさかのぼります。この時火口から100㎞離れた江戸でも数㎝の火山灰が降り積もったといわれています。
日本は火山国です。世界中に1,500のの活火山があって、そのうち110(7%) が日本にあります。宝永噴火の時は、大地震が起きて49日後に噴火活動がはじまったといわれており、3年前の東日本大震災以降日本列島の各地では地震活動が活発になってきていて、富士山を含めて火山活動が目覚めるかもしれないと心配している専門家もいます。今年2月6日静岡、山梨、神奈川の 3県と国などで組織する富士山火山防災対策協議会では、宝永噴火級の大噴火を想定し初めて火山灰による避難対象者を3県で最大47万人と推定する広域避難計画をまとめました。しかし現代の大都市が大規模な降灰に見舞われた経験は世界的にもなく、影響はつかみきれないといったところのようです。ちなみに噴火の5段階警戒レベルのうち、富士山は最も低いレベル1に指定されており、「生活は平常どおり、状況によって規制する」こととされています。
約2万6千年前に誕生した鹿児島の桜島では、今なお火を吐き続けています。大正3(1914)年に起きた大正大噴火から100年が経ちました。国内では20世紀最大の噴火といわれ、流れ出た溶岩は島と大隅半島を陸続きにしてしまいました。噴煙は8千mまで上がり、2万人余が住んでいた島では多くの集落が壊滅したものの、前兆現象に用心した住民の多くは事前に島外に避難していたため、死者・行方不明者は58人に止まりました。はるか太古からの地球の営み、天変地異を正しく怖がり効果的な避難を実行した結果と評価されています。現在桜島は、山に登ることを禁止するレベル3に指定され、全国で最も高い警戒レベルとなっています。
東京の南1千㎞の海中の火山噴火により、新しい島が誕生したという明るいニュースがありました。昨年11月20日小笠原諸島・西之島 (東京都小笠原村) 近海の火山噴火で新しい島が生まれたことが確認されたのです。小笠原諸島や伊豆諸島では過去にも噴火でたびたび陸地が現れたものの数か月か1年位で消えた例が多く、今回も残るかどうか危ぶまれていましたが、12月25日の観測では遂に隣の西之島とくっついて、なお成長を続けていると報じられました。以来報道のたびに大きくなり、最近の情報では新島部分が東西約1,150m、南北約850mで面積は0.7㎢と元の西之島の3.5倍にもなっています。拡大がおさまったところで小笠原村が公式に測量して面積を告示し、海図に載せれば日本の領土と領海がわずかながらも広がることとなります。
税理士 松 尾 正