代表ブログ「 サ バ(鯖)」(2019年5月)

  平成最終年のグルメ商品はサバ(鯖)、特にサバ缶に人気が集中し一時期スーパーなどの缶詰売場ではサバ缶が品薄になったとも伝えられました。サバの缶詰は味噌煮、水煮、味付けなどがありますが、やはり三枚におろして薄塩で加工された肉厚のサバを焼いたものが一番かもしれません。皮はパリッ、身はふっくら口に入れるとジュワッとサバのうま味が広がり食べ応えも十分、サバ好きにはたまらないおいしさです。日本で一番捕れる魚サバは大衆魚の筆頭格で、日本近海で捕れる代表格にはマサバ、ゴマサバがあります。初夏に産卵したマサバは、秋になると丸々と肥って脂も乗ってきます。魚体にゴマ粒状の斑点があるのがゴマサバですが、こちらは夏が旬です。
   サバは漁獲量を押さえる努力が実り、近年は資源量が安定しています。平成29(2017)年の漁獲量は51万トンと水産物の1位となり、サバ缶は平成30(2018)年には長らく首位であったツナ缶を抜いてトップとなりました。サバの養殖も盛んになってきており、4~6か月いけすで育て1尾当たり400g前後に肥らせると、高いもので1㎏当たり2000円にもなり鯛を上回るほどの高級魚に出世するといいます。稚魚が出荷できるようになるまで数年かかる鯛やフグの養殖に比べ、サバは半年ほどしかかかりません。漁師がサバの養殖に力を入れるのは収益の向上はもとより、赤潮、台風などの自然災害が増える中、魚種を増やすことでリスク回避を図るためでもあります。
   漁業者と活魚専門店、温泉ホテルや自治体などが連携し、サバによって地域の活性化と水産業が発展していく試みが行われています。最近では生きた天然サバが都会でも食べられるよう流通が進化し、全国各地で刺し身で食べられるサバが続々とデビューしてきています。サバは、水温などの環境の変化に弱くいけすで生かしておくにも細心の注意が必要とされています。足が早いサバは刺し身には向かないとされてきましたが、「活きじめサバの姿造り」を看板メニューにした海鮮料理店も現れてきました。漁船のいけすで生かしたまま全速力で帰港し、生かしたまま運搬できるトラック「活魚車」に載せて店まで運ばれてきたものが客に提供されています。また、全国各地に生食用のサバがあります。西の関サバ(大分県)、東の松輪サバ(神奈川県)が東西の雄であり、これに青森県の「八戸前沖サバ」、鹿児島県の「首折れサバ」などが全国区といわれています。
    釣り人がアジを狙っていると、途中でサバが食いついてきて取り込みにもたつと縦横無尽に走り回り、回りの釣り人の糸に絡みついてやっかいな嫌われ者です。とはいえ、釣り人にもサバのおいしさは知られており、素早く血抜きをして大事に持ち帰るようになってきました。サバは栄養価も高く、将来的にも日本人の食生活と切っても切れない魚であります。

税理士法人みらい 代表社員
税理士 松 尾   正