家相建築設計事務所様 連載⑥~家相の流儀・流派~


 こんにちは、佐藤秀海です。
 
 それでは、今回は玄関について説明しましょう。前回説明した建物の構えとあわせて、住む人の運勢に大きく関わる大切な場所の玄関は、家相学では「家の顔」と例えられています。もちろん、家相だけではなく、玄関の位置がしっくりこないと、家の動線もおかしくなってしまいます。まさに、家相の智慧と建築の知識の両方を取り入れてほしいのが玄関なのです。
 
2,玄関について
 昔から「鬼門方位の玄関はその家を衰退させる」といわれています。建物の中心から観て北東の表鬼門と南西の裏鬼門方位には玄関を配置してはいけません。鬼門方位の真ん中には「鬼門線」という線があり、その鬼門線上に玄関扉がかかってしまうと大凶相です。こんな家は家族に病が絶えず、仕事がうまくいかないなどトラブルが続きます。
ただし、この鬼門線だけを避けるのでなく、あくまで、鬼門の範囲を避けると覚えてください。家相書の中にも、「玄関が鬼門方位に配置されていても、玄関扉に鬼門線が走っていなければ無難」などと書いてある本もありますが、これは違います。そもそも、玄関とは玄関扉とたたきの部分を指すので、この二つを鬼門の範囲から外さなければ意味がないのです。
 次に、その家に住むご家族の十二支方位の範囲にも、玄関を配置しては凶相です。昔から「東南巽方位の玄関は大吉相」と好んで玄関を東南方位に持ってくる人かいますが、もし、この人が辰年や巳年生まれの人なら、吉相どころか凶相になってしまいます。確かに東南方位の玄関は吉相なのですが、これには例外があって、家族に辰年生まれや巳年生まれがいなければ、という条件がつきます。他の生まれ星の人も一緒で、子年生まれの人は北方位の玄関が要注意、卯年生まれは東方位、午年生まれは南方位、酉年生まれは西方位、戌年・亥年生まれは北西方位の玄関を避けるのが基本です。
 東南巽方位の玄関の人気は高く、中には、北道路に接した敷地なのに、無理やり回りこんで東南の玄関にしている相談例はいくつもありました。要するに、他人が見たらどこに玄関があるのかわからない家です。こんなケースでは必ず、敷地と道路の関係を考慮した間取りに作り変えています。玄関がどこにあるのかわからない家は、家相以前の問題ですね。
 また、広い玄関を希望される施主さんも多いのですが、この方たちは「玄関のたたきはそれほど大きくせず、玄関ホールをゆったりとった玄関にしましょう」とアドバイスしています。玄関のたたきは床が張ってないので、あまり大きいと建物に欠けがあることになってしまうので、たたきは大きくせず、玄関ホールを広げることが無難なのです。最近は靴の収納量が増えているので、玄関にシューズクローゼットを設計することが増えていますが、ここにも家相上のポイントがあります。シューズクローゼットには床を張ってください。床を張らずに玄関のたたきと連続してしまうと、たたきのスペースが増えすぎてマイナスなのです。
 最近ではアルゴーブといって建物の一部をわざと凹ませ、そこを玄関にする設計が増えています。繰り返すようですが、玄関のたたきは欠けの要素があるので、少しでも凹ませてはいけません。むしろ、建物よりも張り出すことで吉相の玄関に出来ます。私は、施主さんが自営業の場合には、できるだけ玄関を張り出すようにしています。特に、北西方位に玄関を設置するときには、必ず張り出します。北西方位は財産や金銭に関わる方位なので、ここに欠けを作ると仕事運も向上しません。自営業の方は要注意です。
 
 ある自営業の方が自宅に取引銀行の支店長を招き、その支店長から「お宅の玄関は欠けですね」と注意され、私の事務所に相談を持ち込まれた実例もあります。
 玄関には欠けを作らず、清潔にしてください。汚い靴を脱ぎ散らかしてもいけません。人間と同じて、顔を見ればその家がわかります。さわやかで動線も良い玄関を目指してください。
 
 次回は、ガスレンジなどの火気についてです。お楽しみに。