赤池三男第26話「-税を考える週間-」(H25.10.25)

 11月11日から17日まで、国税庁と地方自治体税務関係で「税を考える週間」を実施している。我が国の税金と税務行政を、国民に知って貰うことが主旨であり、沢山のポスターと行事がある。キャンペーン中の統一標語は「この社会あなたの税がいきている」。
 昭和46年、金沢国税局管内の女子中学生が「この社会あなたの税が生きている」の募集で入賞したものが現在も続いている。因みに「生きている」は、後に「いきている」に改められた。
 昭和29年に始まった「納税者の声を聞く月間」が発端。期間中、税務署長が、納税協力団体などの長を集めて意見を聴取したり、講演会や講習会で積極的に国民に接した。
 小・中学生・高校生から「税に関する」作文を募った。毎年、優秀作品が税務署に掲示される。なかで、昭和61年度には、東京八王子の盲学校の学生から点字で寄せられた作文が、最高賞を得て話題を呼んだ。盲人が社会生活を営んでいく不便さを訴えた。

 昭和38年6月、税金に対する国民の理解を得る為に、国税庁から文部省に対して、納税の義務を基本教育に取り入れて貰う様に要望した。強力な国家権力を有する国税庁が、文部行政に介入するのは如何かという声が強い中、国税庁の熱意が世間に通じた。教科書に取り入れたものは少ないが、副本を作成して、租税教育を補てんした地方自治体があった。国税庁自ら小中学校に出向いて生徒に、租税教室を実施した。

 後に社会人まで枠を広げた。大企業が集中する東京国税局にあっては財務官僚であって調査部長が経済講話をした。社会人の租税教育には税理士会も参画して、このほど、税理士法改正要望等4項目を申し入れる中、新教科となった「公共」に申告納税制度を盛り込むように要望している。

 昭和31年には、「納税者の声を聞く週間」に、昭和49年からは「税を知る週間」に改められた。モニター制度を設け、メディアなど識者から意見を徴して、今後の参考に期することに役立った。
 しかし、国税庁は執行機関だから「声を聞いて」も法改正に直結できない、ダミーに過ぎないではないかと言う意見が内外にあった。
 現在は、「税を考える週間」に改名した。この期間に必ず実施するのは「納税者を顕彰」すること。優良法人表彰、優秀作文の表彰、優秀酒の鑑定など盛りだくさん。
 今年も税務関係官庁の行事ばかりでなく、マスメディアも大きく取り上げてくれるだろう。
 発足して59年になる。国民の税に対する関心と理解は十分達している。
 ところで、この時期に諸表彰を行うのは何故だろうか?
 国の行事で、何と言っても大きな表彰は、11月3日の菊薫る善き日に文化勲章の顕彰であろう。優秀な功績のあった国民は、天皇陛下から「叙位・勲章」を賜る。この月は国を挙げての顕彰の月。国・地方を問わず、11月に顕彰行事を多く実施するのである。