代表者ブログ 「言葉は時代とともに」(H27.07.01版)

  文化庁では、毎年国語に関する世論調査を実施しています。一昨年は全国の16歳以上約3,500人に対して、誤用が多いとみられる慣用句の意味を選択式で出題したところ、約60%に当たる2,100人から回答がありました。回答結果をみると、「噴飯もの」とは本来の意味は「おかしくてたまらないこと」(20%)を、「腹立たしくて仕方ないこと」(49%)と誤用が倍以上もありました。「流れに棹さす」も本来の使い方である「傾向に乗って、ある事柄の勢いを増すような行為」(23%)を、誤用の「傾向に逆らって、ある事柄の勢いを失わせるような行為」(59%)が36ポイントも上回りました。また「役不足」も本来の使い方である「本人の力量に対して役目が軽すぎること」(42%)を、誤用の「本人の力量に対して役目が重すぎること」(51%)が大幅に上回りました。更に「まんじりともせず」については、「まんじり」という言葉がじっと見つめるという意味で使われることがあるため、誤用の「じっと動かない」(52%)が過半数を超えています。
 日本を代表する国語辞典ともいわれる「広辞苑」が、発売から60年を迎え全国の一部の書店で黒いカバーを60周年を祝う赤い還暦カラーに衣替えして売り出されました。「広辞苑」は先の大戦後すぐに編集をはじめ、初版は昭和30(1955)年5月のことで現在は第6版となっており、約24万語が登載されています。30年以上「広辞苑」の編集に携わったという岩波書店の元担当者は「戦後仮名遣いが変わり、戦前の常識が覆った。多くの人が言葉の意味を確かめるよりどころを求めていた時に『広辞苑』は発売された」と語っています。「広辞苑」の発行部数は昭和58(1983)年発売の第3版の260万部をピークに、以後はパソコンの普及などにより減少が続いているといわれています。
 各版に新たに加えられた言葉は、昭和58(1983)年の第3版では「熟年」「パソコン」「嫌煙権」など、平成3(1991)年の第4版では「過労死」「いまいち」「フリーター」など、平成10(1998)年の第5版では「茶髪」「ストーカー」「介護保険」など、現行の平成20(2008)年の第6版では「ラブラブ」「いけ面」「裁判員制度」「青色発光ダイオード」などで、それぞれの時代に注目された新語が採り入れられています。
 最近よく「全然大丈夫」「全然OK」などと聞くことがありますが、「全然」という言葉のあとには否定する語が続くはずです。金田一秀穂・杏林大学教授(日本語学)によれば「言葉は時代とともに変化していくものであり、確かに違和感もあるが、実は『問題ない』『心配ない』という否定・打ち消しである」といいます。「広辞苑」の『全然』にも③に『(俗な用法で肯定的にも使う)全く。非常に』とあります。

税理士法人みらい 代表社員
税理士 松 尾  正