税理士並河の税界よもやま話⑦ (H20.10.27)

税理士並河の税界よもやま話⑦
今回は法人個人を問わず時期的に調査たけなわなので税務調査にまつわる話です。
現在日本経済は米国発の金融危機の悪影響を受け、厳しい局面を迎えていますが、税務調査は好不況に関係なく行われています。
税務調査は過去の決算が対象となるので、景気の後退期には特に歓迎されません。
企業経営者の中にはタダで国が会社の経理をチェックしてくれるのでありがたいという人もいますが、まだ少数意見にとどまっています。
★調査選定の理由等
調査を担当する部門では所掌する法人、個人の中から・好況のわりに申告所得低調
・過去の調査歴で問題点多い・規模的にみて何年も接触していない・部外情報、取引先資料の蓄積あり、等種々の理由から優先度をつけ、費用対効果を考え調査日数を計画します。
★法人の調査で個人の通帳等を調べる理由
法人の中でも特に①現金商売 ②自宅と法人事務所が同じ場所 ③代表者等から多額の借入金がある場合等法人と個人の金銭的な区分がはっきりしないと見られるところは、法人の調査といえど代表者等の個人財産も調べられることはやむを得ないところです。
★中小法人の財産として意外なモノ
筆者が法人の調査を担当してまだ日の浅い頃、ある八百屋さんへ臨場し、現金商売なので型通りに「社長さん、申し訳ありませんが社長さんの個人財産を見せて下さい」とお願いした。 その社長は近くにいた二人の男の子を指さして「俺の財産はこの二人の子供だ」と言った。 其の時は自分がまだ新米なので小ばかにされたように感じたものですが、後年振り返ってみて、社長のとっさの返答は中小法人の真髄に触れる味のある言葉だったのだと思うようになった。 あれから30年以上経ち、あの子達は親の期待通りに成長したのだろうか・・・・
★事業承継税制
企業経営者にとって事業を引き継いでくれるに相応しい子供がいることはまさに宝物であり財産であります。
平成20年10月から「経営承継円滑化法」が施行されるのを受け、税務面でも「事業承継税制の改正」が進められています。
その骨子は「一定の条件の下で事業後継者が相続又は遺贈により取得した自社株の80%に対応する相続税の納税を猶予する」というもので、中小法人にとっては非常にインパクトのある税制改正として注目する必要があります。