三月の後半から四月にかけてはリニューアルした甲子園で春のセンバツ高校野球が始まり、自然界では桜の開花、そして学校や企業では卒業式、入社式、入学式と続き活気あふれる季節が到来となります。
今回はフレッシュな新入生の受け入れにちなみ研修制度について語ります。
★企業は人なり
企業会計の貸借対照表(B/S)では借方に資産の使途、貸方には資金の調達原資でバランスしていますが、この金額表示に更に人的資源(マンパワー)、ブランド力、ノウハウ等が加わって企業の総合力が評価されます。
企業の人事担当者は中途採用者は別として、新卒社員の場合、学校で学んだことはあまり当てにしておらず、入社後の企業教育、研修に力を注いでいます。
私がかって勤務した昭和40年代の日清紡績では新入社員を浜松工場で6ヶ月間、紡績織布等全工程を見習い研修し、現場でかなりの不良品を出したが、貴重な体験をしました。
今時こんな悠長な研修期間をとっている民間企業はなく、日清紡でも現在は本社での1ヶ月研修で済ませているようです。(当時8あった同社の紡績工場は現在藤枝工場のみ)
しかし官庁の方では依然として余裕の研修体制が敷かれており、税金でまかなわれている割にイマイチ実態が不明であるため、もっとオープンにして民間との交流を図ったらよいと思われます。
★大学校って何だろう?
世に大学校と名のつく教育訓練機関がいくつもありますが、これは一般の大学が文部科学省管轄であるのに対して、大学校はその対象外であるという違いがあります。
国及び独立行政法人が設置する大学校は大きく次の二つのタイプに分けられます。
(1)大学と同等の教育を行う大学校
防衛大学校(横須賀市在)、防衛医科大学校(所沢市)、海上保安大学校(呉市)
航空保安大学校(泉佐野市)、気象大学校(柏市)、国立看護大学校(清瀬市)
水産大学校(下関市)、職業能力開発総合大学校(相模原市)
(2)当該省庁の職員や幹部の養成、研修施設
警察大学校(府中市)、自治大学校(立川市)、消防大学校(調布市)、税務大学
校(和光市)、社会保険大学校(千葉県白井市)、労働大学校(朝霞市)
国土交通大学校(小平市)、中小企業大学校(全国に9校)
★税務大学校のあらまし
国税の職員は採用されると全て国税庁の研修機関である税務大学校(以下税大と呼称)に入校し、経験にあわせて税法の基礎から実務までを学びます。
<税大の沿革>昭和16年に旧大蔵省内に独立した教育機関として税務講習所が設置され、昭和39年に現在の税大に発展的に改組され、新任者に1年間の専門教育を行った後に税務職員として全国の税務署へ配置された。(普通科として現在も引き継がれている)
昭和46年からは大卒を対象とした国税専門官制度が新設され、専科生は税大で4ヶ月の基礎研修を受けた後に税務署に配属される。(2年の実務経験後に再び税大で7ヶ月の専科研修を受ける)
<同期の絆>税大の特徴として採用年次(入校時)の期別が重要で例えば普通科○期、本科○期、専科○期といった感じで後々まで人事上「期別管理」をされ、一方同じ釜の飯を食った同期の絆による連帯感が自然に醸成される。(本科とは普通科生で部内経験者が選抜され更に1年間の高等研修を受ける制度)
同期の飲み会では貴様と俺とは{同期の桜}がよく歌われていたが、最近の研修生の間ではどうでしょうか?(もう軍歌なんて古いか)
税大では徴税技術も重要だが、「租税とは何か」ということを現場を離れて考える唯一の場であるため、受講カリキュラムの充実やいい教授陣を揃えて欲しいところです。
さて、わが税理士法人みらいにも4月1日から新入社員が2名入ります。
会計事務所はとりわけ人的資源(マンパワー)のウエイトの高い職場であるため、彼らに対する新人教育がみらいとして又みらいの顧客にとってパワーアップに繋がるようけん命に努力する所存であります。