暖冬<H21.03.30 更新>
年が明けてから月日の過ぎ行く早さを「一月往 (い) ぬる、二月逃げる、三月去る」 と言います。とりわけこの時期は、私どもにとって所得税、消費税の確定申告の時期とあいまって、多忙のうちにまたたく間に過ぎ去ってしまい、毎年のことながら「三月去る」とホッした気持ちになります。
更に、この冬は全国的にも暖冬ということで春までもがかけ足でやってきました。
この冬、昨年12月から今年 2月の平均気温を平年と比べると東日本では 1.5度、北日本では 1.6度高く、それぞれ戦後 2番目、 3番目の記録となりました。降雪量にしても北日本の日本海側で平年の76%、北陸では31%という少なさでした。これらの原因としては、シベリア高気圧の張り出しが弱く、西高東低の冬型の気圧配置が続かず、寒気が南下しにくかったことがあげられています。今年の暖冬は、スキー場の雪不足、 氷上ワカサギ釣りの中止、東京ではウメの平年より20日以上早い開花、桜前線の北上も平年以上の早さのほか、九州でのヒバリの初鳴き、名古屋でのタンポポの開花などは観測以来最も早いという記録をもたらしました。このように誰もが過ぎ行く日々の早さを感じる時期に、季節までもが拍車をかけてしまいました。早すぎる春のあと、高温傾向は 8月ごろまで続くと気象庁は長期予報しており、この夏は猛暑が続くということになりそうです。
さて、昨秋来の先の見えない不況は今日に至っても明るい兆しは見えず、長期間にわたって強い寒風に翻弄されています。我が国の中小企業は、高い技術力によりバブル経済崩壊など度重なる危機を乗り越えてきましたが、生産活動が大きく落ち込んだ今回の景気悪化の波には「果たして乗り越えられるのか、こんな状態がいつまで続くのか」と深刻さは増すばかりです。
かつて、菜種梅雨により低い気温が長く続いて春を迎え、桜と人との縁が薄かった年がありました。桜は三月の末から暗い空の下にひっそりと咲いていましたが、四月になってようやく春が甦った時、束の間でも美しい花びらを見せてくれました。一国の指導者たちは、目先にとらわれずきちんと優先順位を決めて危機脱出の策を実行して、不況にあえぐ人々に早く元気を取り戻させてほしいのです。美しい花が咲き、めぐる季節の喜びを味わえる日の到来が待ち遠しいのです。
税理士法人みらい
代表社員税理士 松 尾 正