秋の味覚サンマ<H21.09.28 更新>
澄み切った空が日増しに高くなっていく「天高く馬肥ゆる秋」、食べ物が最もおいしい時節となりました。秋の味覚といえば、山の松茸海のサンマが両雄といえるでしょう。近年松茸は高値を続けて庶民の食卓からは遠ざかってしまいました。一方のサンマ、漢字では「秋刀魚」と書くのはご存知のとおりですが、名は体を表して魚体の大部分が銀色に光り輝き、スマートな形から秋の味覚の代表格として遜色はありません。黄色くとがった口先、澄んだ丸い目、腹が丸くふっくらとしたものがスーパーなどの店頭で一匹 100円前後、塩焼きが一番おいしく添え物は大衆野菜の代表ともいえる大根をおろしたものと、限りなく庶民的な魚であります。
この時期のサンマは、夏の間に北の海でオキアミなどのエサをたっぷり食べているため、体重の約25パーセントを脂肪が占めているそうです。しかもこの脂肪は、舌をかみそうな名前のドコサヘキサエン酸を多く含んでおり、これが脳を活性化させる機能を持っているそうですから子どもから老人までの健康食品といえます。
サンマの稚魚は南の暖かい海で生まれ、エサとなる動物性プランクトンを求めて北上し、北の海で大きくなったものが卵を生むために再び南下しますが、南下の途中の日本列島近海にやってきたところで捕獲されます。日本のサンマの漁獲量は年間約34万トン、ロシアなどの他国が約60万トンと合わせておよそ 100万トンが水揚げされています。水産総合研究センターの分析では、資源に悪影響を与えないで漁獲できる量は世界全体で約 190万トンと推計されていますから、まぐろやくじらと違って当分は安心して食べ続けていくことができる優良な食糧資源といえます。
サンマは大海原の中でどう過ごしているか、うなぎほどではないにせよまだ謎の多い魚であるといわれています。水族館などではサンマの飼育や繁殖に取り組んでいますが、近年ようやく水槽のサンマでも徐々に産卵を繰り返すようになってきたという成果が得られたそうです。姿形からその繊細さがわかりますが、水槽中の成魚は手でつかんだだけで、稚魚は少しの振動やショックで死んでしまうそうです。資源として余ゆうがあるうちに絶滅種に至らせないため、細心の注意を払いながら種を存続させ繁殖させていくという有益な取り組みが続けられています。
今日生鮮食品の保存、流通は格段に進歩してきました。取りたての生きのよいサンマが全国に配送され、誰もが遠方の味覚を手軽に賞味できます。松茸と比べて格安の値段、しかも脳を活性化するヘルシーな秋の味覚サンマは、美味で優れた食材であることはいうまでもありません。
税理士法人みらい
代表社員税理士 松尾 正