赤池三男第二十三話「- 生命保険と控除の話 -」(H25.6.24)

 あなたは生命保険に興味が有りますか?生命保険に加入していますか?保障金額は幾らですか?年の支払金額は幾らですか?
 日本国憲法が有する保障の種類は幾つもある。大切な保障は財産の保障、生命の保障の義務…。
 憲法第25条「・・国は・・・すべての生活部面について社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上増進に努めなければならない」とある。権利の保障並びに幸福追求権条項と訳されている。国家は、国民の生活を保障する。
 生命保険は本来ならば、国が補償しなければならない国民の生活保障保険であるが、国に代わって民間会社に保障を委託して、国民自身に、必要な額を必要な期間掛けている。生命保険の本質である。
 現在、生命保険は国全体で100兆円を超える莫大な資産がある。我が国予算一割に匹敵する。だが、相次ぐ自然災害で保険会社の資産は一時的に減少した。
 生命保険は、本人にも大切であるが、残された遺族の為には、欠かせない保障財産になる。入院時を保障した保険も加入者が多い。
 生命保険の起源は1400年代のイタリア国らしい。
 日本では、福沢諭吉著書「西洋旅案内」で触れている。生命保険会社としては、明治14年の明治生命がルーツではないか。
 平成10年ころ、主に中堅生保会社が整理統合された。今では、国内最大の日本生命のほか、外資系の生保会社を含めて約30社が存在している。
 現在、わが国の生命保険世帯加入率は90,5%、世帯数は5千2百万世帯だから、4千5百万世帯が生命保険に加入していることになる。
 世帯別普通死亡保険金は1,671万円。一人当たり、年支払保険料は41.6万円。サラリーマンの平均給与が413万円だから、約1割が生命保険料支払い金額に相当する。そして、現在の保険では不満足で、追加加入希望は31%もあるというから、まだ開発の余地は有る。
 国民の保険に対する関心は高い。保険に関心の高い国民性は、先進国の証しだという。社会保険、国民年金、損害保険、自動車保険、教育保険…まさに国民皆保険時代。
 税制上の生命保険控除は、国に代わって支払う保険料を、支払った個人の所得税から控除しようとする制度で、所得税法第76条に(生命保険料控除)に規定がある。かつては、実務に当っている税務職員から、生命保険料控除の存在について、資本主義的控除である、税効果が少ない、事務手数が掛るからと廃止を求める声があった。
 生命保険料控除とは、納税者が一定の生命保険料、介護保険料、個人年金保険料を支払った場合に受けることが出来る税制上の控除である。所得税法が創立された早い時期から存在する。
 控除額は、昭和40年代から10万円以上の支払いは、5万円控除で頭打ちと不変である。平成24年分から「新保険料」と旧生命保険料が併用となって控除対象だった。
 25年からは、新制度が適用され、上限所得控除額は120,000円、住民税70,000円が控除される。生命保険の重要性が、更に認識されることになった。
 所得税法の生命保険料控除を適用する人を平成24年分でみると、納税申告者(納税人員)609万人のうち606万人が控除適用を受けている。一申告当りの控除額は47,650円。
 因みに、所得税法上の控除で、一番利用の多いのは社会保険料控除で、90%の人が控除適用を受けている。
 生命保険と同類の損害保険料控除は62%が利用している。近年、地震などに寄る災害が多発している影響もあって、生保と損保の加入者は増加している。