世の中のことは、何でも税につながる。 新聞に掲載されていること、週刊誌などの出版物、テレビに放映、ときには、電車内などのつり革広告なども。(現代では、インターネットも…) 昔、税務署の先輩が若い職員や部下職員に教えてくれたこと。世の中のすべてが税につながる、と。 すなわち、政治・経済・社会・スポーツ…あらゆることが税(課税)につながると、職場の上司や先輩が教えてくれた。 霞が関国税庁職員は、早く情報を知ることができるし、自ら情報を作ることもある。報道で、税制改正方針、課税の実態を把握している。 国税局の調査税部門や税務署職員は、そのくらい物事を重視してみよといった教えだ。 事実、新聞に掲載されているどんな事件であっても、税につながる。喩え、殺人事件や災害であっても情報だ。個人課税担当部門にあっては、尚更興味を持つだろう。 あるタレントがテレビ放送で、公営ギャンブルで大穴を当てたことを喋っていた。税務署員も見ていただろうに。 経済紙で、好況業種を詳細に報道した。課税庁は、管内の同業者(社)の課税情報として対処した。 国税当局はあまり知られたくないことだろうが、今では世の中に知れわたった事だから… |
かつて、自叙伝本の出版が流行ったことがあった。バブルの頃だ。 同類書は、中小企業の社長や立身出世した人が、自分の生い立ちから、現世を事細かく記述していた。 国税局の料調(資料調査課)部門には、担当者の机上にこれらの本が山のように積まれていた。この本を読み、財産状態をチェックして課税の材料にした。 ある自叙伝には、著者がどのようにして財産を形成してきたか。どこに財産があるか詳しく記述した書があった。これは!これは!と、部外者的感覚で読んでいたが、案の定!料調の厳しい調査で、その後、もっと厳しい処置をされたらしい。自叙伝で、自ら課税情報を課税当局に提供していたことになる。 テレビ放送でこんな笑話(当事者は笑っていられないが…)がある。 ある年の五月の連休(ゴールデンウィーク)のこと。連休の初日に某テレビ局が、一人の女将の日常の活躍ぶりを30分ほど放映した。高級料理店、大衆飲食店やホテルなどの多角経営を取り上げた。もしこれを税務署員が見たら、当然課税資料にするだろう。 さて、この場合は、資料にするだろうか。ところが、優秀な税務署では、連休明けに調査を予定していたのである。 女将からすれば「テレビを見てきたのでしょう」と言うだろう。否、そうは思われたくない税務署は如何しただろう。 |